2012年2月18日土曜日

14年 名古屋vs金鯱 9回戦


9月11日 (月) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 2 2 0 0 2 8 名古屋 24勝41敗3分 0.369 繁里栄 西沢道夫 松尾幸造 大沢清
2 1 0 0 3 2 0 1 X 9 金鯱   25勝40敗2分 0.385 大宮清 古谷倉之助 内藤幸三


勝利投手 大宮清 2勝7敗
敗戦投手 大沢清 2勝5敗
セーブ   内藤幸三 1


二塁打 (名)服部 (金)濃人、大宮、古谷
三塁打 (名)大沢、加藤 (金)野村

内藤幸三、鮮やかな復活

 同率で並ぶ両チームによる対決。

 名古屋は初回、先頭の桝嘉一が四球を選んで出塁、一死後大沢清が右中間に三塁打を放って1点を先制する。これが大乱戦のスタートとなった。

 金鯱は1回裏、先頭の五味芳夫が四球で出塁するとワイルドピッチで二進、濃人渉の右翼線二塁打で1-1の同点に追い付く。野村高義の右前打で無死一三塁、小林利蔵の二ゴロの間に野村が還って2-1と逆転する。

 金鯱は2回、先頭の大宮清が左中間に二塁打、中村輝夫の右飛で大宮はタッチアップから三塁に進み、佐々木常助が右前にタイムリーを放ち3-1として名古屋先発の繁里栄をKO、二番手として西沢道夫がマウンドに上る。

 名古屋は3回、二死後大沢が四球を選ぶと二盗に成功、加藤正二も四球で二死一二塁、三浦敏一が左前にタイムリーを放って2-3とする。

 名古屋は5回、先頭の村瀬一三が左前打で出塁、トップに返り桝が四球を選び、石田政良が投前に送りバントを決めて一死二三塁、ここで大沢が右前に逆転タイムリーを放って二者還り4-3とリードする。

 金鯱は5回裏、先頭の五味が四球で出塁、名古屋ベンチはここで西沢に代えて三番手として松尾幸造を送り込む。しかし松尾は又もストライクが入らず濃人四球で無死一二塁、野村は二ゴロに倒れるが小林利蔵も四球で歩き一死満塁、小林茂太が左越えに逆転二塁打を放って5-4としてなお一死二三塁、瀬井清の遊ゴロで三走小林利蔵がホームを突くがショート村瀬からのバックホームにタッチアウト、しかし大宮に代わる代打荒川正嘉が四球を選んで二死満塁、中村輝夫に代わる代打磯部健雄が押出し四球を選んで6-4とする。名古屋は松尾を退けてファーストの大沢が四番手としてマウンドに上る。キャッチャーの三浦がファーストに入り、松尾に代わって服部受弘が入ってキャッチャー。

 金鯱は6回から先発・大宮清の代打に出た荒川がライトに入りライトの小林茂太に代わって古谷倉之助をマウンドに送る。

 名古屋は6回、一死後芳賀直一が右前打で出塁、服部が左中間にタイムリー二塁打を放ち5-6、村瀬が左前に同点タイムリーを放って6-6と追い付く。

 金鯱は6回裏、一死後濃人が四球を選んで出塁、野村が右中間に三塁打を放って7-6と三度リード、小林利蔵の右犠飛で8-6とリードを広げる。

 リードを奪ったところで岡田源三郎監督は内藤幸三を三番手としてマウンドに送り込む。戦場から戻ってきた内藤はこれが三年振りのマウンドとなった。同時に岡田監督はライトの荒川をセンターに回してセンターの佐々木をライトに回す。内藤は大沢を右飛に打ち取り復活の狼煙を上げる。岡田監督はここで再びセンターとライトを入れ替えて元に戻す。大沢の右打ちを見切った岡田采配である。当然岡田監督は荒川の守備より佐々木の守備を買っている訳です。内藤は加藤には四球を与えるが三浦を三ゴロ併殺に打ち取り無難な立ち上がりを見せる。8回は中村三郎、芳賀に連続四球を与えて無死一二塁のピンチを迎えるが服部を中飛、村瀬を左飛に打ち取り桝から復帰後初三振を奪う。因みに内藤は昭和11年には澤村栄治を抑えて初代奪三振王となっています。

 金鯱は8回、先頭の五味が四球から二盗に成功、濃人も四球を選び、一死後小林利蔵が左前にタイムリーを放って1点追加、9-6とする。この1点が効いた。

 名古屋は9回、一死後大沢が四球を選んで出塁、加藤が左越えに三塁打を放ち、レフト野村からの返球を中継したショート濃人の三塁送球が悪送球となる間に加藤もホームに還って8-9とする。しかしここは戦場で鍛えられた内藤が踏ん張って三浦は三振、最後は天野竹一に代わる代打村松幸雄が二ゴロに倒れて金鯱が9対8で大乱戦を制す。


 名古屋は15人、金鯱は14人を注ぎ込み総勢29人が出場した。金鯱の岡田源三郎監督は7回、内藤をマウンドに送ると共に、5回に代打に出て6回の守備からライトに入っていた荒川正嘉をセンターに回して守備のいいセンターの佐々木常助をライトに回した。この回の先頭打者・大沢清の右打ちに備えたものである。内藤が予定通り大沢を右飛に打ち取ると再び佐々木と荒川を入れ替えて元に戻した。策士・岡田源三郎の真骨頂である。「日本プロ野球記録大全集」のテーブルスコアにはこのシフトが記載漏れとなっていますのでご注意ください。翌日の読売新聞のテーブルスコアには荒川が「右中右」、佐々木が「中右中」と正しく記載されています。

 この試合の勝利投手は大宮清で敗戦投手は大沢清です。ややこしいのでお間違えのないように。現行ルールでは古谷倉之助が勝利投手となります。3イニングを1安打4四球2三振2失点、自責点1に抑えて復活を遂げた内藤幸三には当ブログルールによりセーブが記録される。






*荒川正嘉と佐々木常助のシフトを伝えるスコアブックの記載。佐々木はセンタースタメンで出場し、7回からライトに回り(k)、大沢の右飛を捕球するとセンターに戻ります(l=エルの小文字)。備考欄には「7回*より(再)」と書かれています。左端の欄は「刺殺」の数字です。佐々木はライトの守備で刺殺1を記録しています。










*戦地から戻ってきた内藤幸三は3年ぶりのマウンドの感触をどう感じ取ったのでしょうか。



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