2012年2月22日水曜日

14年 ジャイアンツvs阪急 9回戦


9月12日 (火) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 3 0 0 0 0 3 0 4 10 ジャイアンツ 46勝18敗2分 0.719 川上哲治 スタルヒン
1 1 0 5 0 0 0 0 0  7  阪急       44勝22敗1分 0.667 重松通雄 森弘太郎 石田光彦 高橋敏


勝利投手 スタルヒン 30勝9敗
敗戦投手 石田光彦    8勝6敗


二塁打 (ジ)川上、吉原
三塁打 (ジ)川上2、水原 (阪)山田

スタルヒン30勝!


 ジャイアンツは川上哲治が先発。第二試合でタイガースが敗れたのを見て余裕ができたか。阪急の先発は8月6日にタイガースを完封した以来の登板となる重松通雄。

 阪急は初回、先頭のフランク山田伝が四球で出塁、西村正夫の二ゴロはセカンド千葉茂からショート白石敏男に転送されるが白石が落球、上田藤夫が一塁線に送りバントを決めて一死二三塁、ワイルドピッチで山田が生還して1点を先制する。

 ジャイアンツは2回、一死後川上が左中間に三塁打、アチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)の二ゴロの間に川上が還って1-1の同点、リベラには打点が記録される。セカンド伊東甚吉のエラーによりリベラも一塁に生きて、平山菊二の右前打でリベラが三塁に走りライト西村からの三塁送球の間に打者走者の平山も二塁に進み、このチャンスに吉原正喜が中前に2点タイムリーを放ち3-1と逆転に成功する。

 しかし川上はストライクが入らなかった。阪急は2回裏、先頭の田中幸男が四球で出塁、日比野武の投ゴロの間に田中が二進、送りバントは記録されていない。重松も四球を選び、トップに返り山田は三振に倒れるが西村も四球に歩いて二死満塁、ジャイアンツ藤本定義監督は川上をファーストに回しファースト永澤富士雄に代わりスタルヒンがマウンドに上る。しかし肩ができていなかったのか上田は押出し四球で2-3、山下好一は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は4回、一死後山田が右前打から二盗に成功、西村の左前打で一死一三塁、上田の右前タイムリーで3-3、三人の流し打ちで同点に追い付く。山下好一が四球を選んで一死満塁、山下実が中前に逆転の2点タイムリーを放って5-3、伊東甚吉の投ゴロで山下実が二封されて二死一三塁、伊東が二盗を決めて二死二三塁、田中の一塁内野安打が2点タイムリーとなって7-3とする。阪急は逆らわないバッティングで苦手スタルヒンを遂に攻略した、かに見えた。

 阪急先発の重松は3回、4回を無失点で切り抜けるとお役御免となり5回から二番手として森弘太郎がマウンドに上る。森は5回、6回と1安打ずつを許しながら無失点で切り抜けるが7回に捕まった。

 ジャイアンツは7回、一死後千葉、中島治康が連続四球、川上が左中間に三塁打を放って二者還り5-7、リベラの二ゴロの間に川上が還って6-7と1点差に追い上げる。

 ジャイアンツの8回は三者凡退。阪急は8回裏、先頭の山田が左中間に三塁打、西村の一塁線内野安打で山田は動けず無死一三塁、これは西村のドラッグバントの可能性が高い。西村が二盗を決めて無死二三塁、しかし上田と山下好一は連続三振、山下実は四球、これは敬遠でしょう、伊東が遊ゴロに倒れて無得点に終わる。このチャンスを活かせなかったことが逆転負けにつながった。

 ジャイアンツは9回、先頭の水原茂が左中間に三塁打、阪急ベンチはここで森に代えて三番手として石田光彦をマウンドに送る。しかし千葉が中前にタイムリーを放って7-7の同点、中島は三前に内野安打、藤本監督は送りバントを使わないので中島自らの考えでセーフティバントの可能性が高い。もちろん失敗しても最低二塁にはランナーを送る腹だったのでしょう。ここで川上が右中間を破り千葉を迎え入れて8-7と逆転してなお無死二三塁、阪急ベンチは石田に代えて高橋敏を四番手としてマウンドに送り込むが、リベラの右犠飛で9-7、二死後吉原の左中間二塁打で10-7とする。

 スタルヒンは阪急の最終回を三者凡退に退けて7回3分の1を8安打2四球5三振5失点、自責点5ではあったがシーズン記録としては我が国初の30勝目を記録する。因みに二シーズン制の昭和12年は澤村栄治が春24勝・秋9勝で年間通算33勝、野口明が春19勝・秋14勝で33勝、昭和13年はスタルヒンが春14勝・秋19勝で33勝を記録しています。


 川上哲治が5打数3安打3打点、二塁打1本、三塁打2本。吉原正喜が5打数3安打3打点、二塁打1本。アチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)が4打数無安打ながら3打点の活躍を見せた。川上の2本の三塁打は何れも左中間を抜いたものである。千葉茂の自伝「猛牛一代の譜」によると川上の打者転向のきっかけは藤本監督と三原脩が話し合ってピッチャーとしては使えなさそうなので打撃練習をさせたところ「三原好みのセンター中心に打球が鋭く集中した」からで、「左中間にさかんに好打して、打撃の川上としてスタートをきるのであります。」と書いている。本日の試合のことを言っているのかもしれません。





                 *スタルヒンが30勝目を記録する。






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