2012年1月2日月曜日

14年 タイガースvs南海 7回戦


8月10日 (木) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 タイガース 36勝16敗2分 0.692 若林忠志
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 南海      22勝30敗3分 0.423 政野岩夫 宮口美吉


勝利投手 若林忠志 9勝2敗
敗戦投手 政野岩夫 9勝9敗


二塁打 (タ)皆川、松木 (南)小林2
三塁打 (タ)門前、本堂

若林忠志、芸術的ピッチング

 タイガースは5月21日以来、松木謙治郎を一番に戻した。景浦将が復帰して四番に据えることができるようになり全盛期の布陣に戻すことができた。

 タイガースは2回、先頭の景浦が左前打で出塁するが二盗に失敗、一死後門前真佐人に右中間三塁打が出るなどちぐはぐな戦いぶりで序盤戦は政野岩夫の軟投に手を焼いた。

 タイガースは5回、一死後七番に入る岡田宗芳が四球で出塁、若林忠志の二ゴロでランナーが入れ替わり、皆川定之が右翼線に二塁打を放って二死二三塁、トップに返り松木が右翼線にタイムリー二塁打を放って2点を先制、好調本堂保次が左中間三塁打で続いて3-0とする。松木の一番起用がズバリ的中する。

 南海は5回裏、一死後小林悟楼が右翼線に二塁打、中田道信四球、政野に代わる代打宮口美吉の左前打で一死満塁、トップに返り平井猪三郎の遊ゴロをショート皆川がエラーする間に三走小林が還って1-3、しかし岩出清は三飛、岡村俊昭は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 若林忠志は7安打4四球2三振の完投で9勝目をあげる。



 若林の芸術的ピッチングをスコアブックから読み取ってみよう。

 初回、先頭の平井が中前打、岩出が送って一死二塁、岡村を中飛に打ち取ると鶴岡一人には四球、これは敬遠であろう。流石に法政大学の後輩鶴岡に対してキャッチャーが立ち上がった訳ではないと考えられるが打たせるつもりは無かったのではないか。二死一二塁となったところで二塁牽制で平井を釣り出し「1-6-5」と渡ってタッチアウト。

 2回、国久松一二ゴロ、中村金次中前打、小林の投ゴロを一塁に悪送球する自らのエラーで一死一二塁とするが中田の投ゴロを三塁に送球、「1-5-3」と渡るダブルプレーに打ち取る。八番バッターで切ったところがミソで3回は三者凡退。

 4回、三番岡村を中飛に打ち取ると鶴岡は四球、国久の遊ゴロで「6-4-3」のゲッツー。この4回のピッチングこそが若林のピッチングの本質を表している。繰り返しますが2回を八番で切ったところがポイントで、3回を三者凡退に抑えれば4回は三番岡村から、ここを抑えれば鶴岡を歩かせるのは予定の行動でしょう。続く国久を注文通りのゲッツーで切り抜けている。

 5回は上記のとおり。6回の先頭は鶴岡でこの日唯一の勝負をしましたが鶴岡が左前打で出塁、続く国久の捕邪飛はバント失敗でしょうか。というより若林がバントしにくい内角低めを突いた結果か。中村の二ゴロでランナーが入れ替わり、小林が右中間に二塁打を放って二死二三塁、中田を二ゴロに打ち取る。南海打線も右打ちで活路を見出そうとしているが若林がそれを許さないといったところでしょか。

 結局この回も八番で切って7回は九番、一番、二番を三者凡退と前半と同じパターンで8回は三番岡村から。その岡村を遊ゴロに打ち取ると鶴岡にはこの日3つ目の四球。鶴岡が二盗を試みるが門前が刺して国久は遊ゴロでスリーアウトチェンジ。

 9回は先頭の中村金次に中前打を許すが小林二ゴロ、代打伊藤経盛三振、宮口を遊ゴロに仕留めて試合終了。


 若林は鶴岡を中心にピッチングを組み立てているのが良く分かる。鶴岡を先頭打者として迎えないように八番で切って次の回は三者凡退に抑えている。鶴岡の前に走者を溜めないことを第一義として二番岩出清、三番岡村俊昭を無安打に抑えている。そして鶴岡を出した後の五番国久松一を4打数無安打と完全に封じ込めている。1点取られた5回は二死満塁で三番岡村俊昭を三振に打ち取っているがここが一番力が入った場面でしょう。南海としてはここで岡村がつないで鶴岡に回していたら勝負はどちらに転んでいたか分からなかった。

 7安打4四球1失点程度のピッチングはいくらでも見かけますが、これだけ味のある7安打4四球1失点はちょっと見当たらない。

 



               *若林忠志は完投で9勝目をあげる。









*1点は取ったものの若林の芸術的ピッチングに封じ込められた南海打線。


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