2014年1月12日日曜日

訂正のお知らせ




 読者の方からのご指摘により、2011年2月9日付けブログ「13年春 金鯱vs名古屋 5回戦」において、6回裏名古屋の攻撃で「西沢に代わる代打田中実は三振に倒れる。」の部分が間違いであったことが判明しました。この回は西沢が打席に立っており、田中実が代打に起用されるのは7回裏のこととなります。



 単純な解読ミスが原因です。的確なご指摘ありがとうございました。本文には間違いであった旨追記させていただきました。




 

一試合最多三者凡退 追記




 昭和12年6月27日、洲崎球場で行われた12年春ジャイアンツvsタイガース8回戦で、澤村栄治が延長12回を3安打無四球で完封して9度の三者凡退を記録していることが判明しましたので追記させていただきます。



 澤村は6月25日の試合前の練習中にトスバッティングの打球を眼に当てて、徹夜の馬肉治療の末、27日のタイガース戦に臨みます。この試合の前までタイガースがジャイアンツを0.5ゲーム抑えて首位に立っていましたが、この試合でジャイアンツが逆転しました。


 昭和12年春季リーグ戦の天王山で澤村が記録した一試合9度の三者凡退の記録を、地元の掛川では“澤村二世”と呼ばれていた村松幸雄が更新したことになります。



 

2014年1月11日土曜日

一試合最多三者凡退



 昭和16年7月2日、朝日vs名古屋5回戦は延長16回の末名古屋が1対0で朝日を降しました。この試合で完封勝利を飾った村松幸雄は3安打1四球の見事なピッチングを見せ、11度の三者凡退を記録しました。この記録は一試合最多三者凡退記録となります。


 これまで無安打無得点は11回記録されていますが完全試合はまだありません。藤本英雄が完全試合を記録するのは昭和25年6月27日のことで、まだ9年も先のこととなります。昭和15年4月14日に浅野勝三郎が四球1個で準完全試合を記録した時は8度の三者凡退を記録しており9回の試合では最多記録となっています。



 昭和15年秋季から引分け試合が廃止されたため、延長戦が激増します。昭和16年4月3日の阪急vs阪神1回戦(延長18回)と、6月24日の阪神vs南海8回戦(延長17回)で若林忠志が8度の三者凡退を記録していますが、本日の村松幸雄はこれらを大きく上回る空前の大記録を樹立したことになります。この記録を“発見”できるのは、世界中を見渡しても当ブログだけでしょう(笑)。






 

16年 朝日vs名古屋 5回戦


7月2日 (水) 甲子園
 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0   0   0   0   0 朝日     11勝24敗 0.314 山本秀雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0   0   0  1X  1 名古屋 16勝19敗 0.457 村松幸雄
 
勝利投手 村松幸雄 3勝2敗
敗戦投手 山本秀雄 4勝6敗
 
勝利打点 村松幸雄 1
 
 
村松幸雄、獅子奮迅
 
 朝日先発の山本秀雄と、名古屋先発の村松幸雄による投げ合いは延々と続いた。
 

 9回まで朝日がスコアリングポジションに走者を進めたのは、初回一死後村上重夫が遊失から二盗を決めた際と、9回一死後灰山元章が三塁内野安打から二盗に成功した時のみ、ヒットは村上の内野安打と2回の岩田次男による左前打の2本だけで、村松の前に3回~8回は無安打、5回に山本が遊失に生きただけで5度の三者凡退に抑え込まれた。

 一方、名古屋は9回までに4度スコアリングポジションに走者を進めながらあと1本が出なかった。すなわち、2回は服部受弘、芳賀直一の連打から二死二三塁とするが石丸進一は遊飛に倒れる。6回、服部の四球と芳賀の中前打で二死一二塁とするが岩本章は左飛に終わる。7回、一死後村松が三塁に内野安打、続く木村進一の当りは右前に飛ぶがライト鬼頭政一の一塁送球でライトゴロが記録され、二走村松もキャッチャー伊勢川真澄からの牽制にタッチアウト。8回も大沢清の中前打と芳賀の四球で二死一二塁とするが岩本が左飛に倒れて無得点。
 

 延長に入っても村松の投球は冴えわたり、12回に灰山に中前打を許した以外は一人の走者も出していない。

 名古屋は13回裏、先頭の大沢が四球で出塁、吉田猪佐喜が送って一死二塁、服部の三ゴロをサード岩田が一塁に悪送球して一死一三塁、芳賀が死球を受けて一死満塁とするが、二走服部がキャッチャー伊勢川からの牽制球に刺され、この隙を突いて三走大沢がホームスチールを敢行するがセカンド五味芳夫からの送球にタッチアウト。

 名古屋は14回裏、一死後石丸が中前打で出塁するが二盗に失敗。15回裏、一死後桝嘉一が四球で出塁、大沢の二ゴロをセカンド五味が二塁に送球するがベースカバーのショート前田諭治が落球して一死一二塁、しかし吉田の二ゴロが「4B-3」と転送されてダブルプレー。

 名古屋は16回裏、先頭の服部が遊失に生き、芳賀が三前に送りバントを決めて一死二塁、牧常一の中前打で一死一三塁、石丸に代わる代打三浦敏一が四球を選んで一死満塁、ここで好投を続けてきた村松が右前にサヨナラヒットを放って2時間18分の戦いに決着がついた。
 

 山本秀雄は15回3分の1を完投して9安打8四球1死球1三振1失点と粘ったが最後に力尽きた。自責点はゼロであった。
 

 村松幸雄は16回を3安打1四球4三振で今季初完封、3勝目をあげる。16イニングスのうち、11度の三者凡退を記録した。村松の3年間のプロ生活で最高のピッチングでしょう。自らのバットで決着をつける獅子奮迅の活躍であった。
 



 
     *村松幸雄は16回を3安打1四球に抑えて完封、今季3勝目をあげる。












       *村松幸雄に抑え込まれた名古屋打線。


















 

16年 南海vs大洋 5回戦


7月2日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 3 0 0 0 0 4 南海 15勝19敗 0.441 神田武夫 川崎徳次
1 0 0 0 0 5 0 0 X 6 大洋 21勝13敗 0.618 浅岡三郎

勝利投手 浅岡三郎 5勝1敗
敗戦投手 川崎徳次 3勝6敗

本塁打 (南)岩本 5号

勝利打点 なし

ファインプレー賞 (南)鬼頭数雄 4


試合巧者

 南海は初回、二死後岩本義行がレフトスタンドにホームランダービー単独トップを独走する第5号を叩き込んで1点を先制する。

 大洋は1回裏、先頭の中村信一が四球を選んで出塁、苅田久徳は右飛、濃人渉が三邪飛に倒れると中村が二盗に成功、黒澤俊夫が右翼線にタイムリーを放って1-1とする。大洋は南海とは対照的なスモールベースボールで同点に追いついた。

 2回~4回まで無安打が続いた南海は5回、猪子利男が三前にセーフティバントを決めて出塁、前田貞行が中前打を放って無死一二塁、神田武夫の送りバントは三邪飛となって失敗、トップに返り国久松一がセンター左にタイムリーを放って2-1と勝ち越し、一走前田は三塁に走り、打者走者の国久もバックホームの隙を突いて二塁に達し一死二三塁、安井鍵太郎が中前に2点タイムリーを放って4-1と突き放す。

 2回~5回まで無安打が続いた大洋は6回、濃人渉が左前打で出塁、黒澤の二ゴロをセカンド猪子が二塁に悪送球して無死一二塁、森田実が四球を選んで無死満塁、南海ベンチは堪らんとばかりに先発の神田に代えて川崎徳次をリリーフに送る。しかし浅岡三郎が押出し四球を選んで2-4、石井豊が左前にタイムリーを放って3-4、佐藤武夫に代わる代打野口二郎の三塁内野安打で三走森田が還って4-4の同点、更にサード安井からの二塁送球が悪送球となる間に二走浅岡も生還して5-4と逆転、織辺由三は三飛に倒れるがトップに返り中村が右前打を放って一死満塁、苅田久徳の中犠飛で6-4と突き放す。


 浅岡三郎は7回以降の南海の反撃を無安打に抑えて、5安打4四球2三振の完投で5勝目をあげる。


 両チーム5安打ずつであったが南海は4四球、大洋は8四球を選び、南海は3失策で大洋は無失策であった。大洋は旧セネータース譲りの試合巧者ぶりを見せつけて若い南海を降したのであった。但し、南海の荒削りな試合ぶりは躍進をうかがわせるものがある。










 

2014年1月9日木曜日

16年 黒鷲vs巨人 5回戦


7月2日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 黒鷲 11勝23敗 0.324 中河美芳
0 0 0 0 0 0 1 2 X  3 巨人 25勝9敗 0.735 中尾輝三

勝利投手 中尾輝三 8勝3敗
敗戦投手 中河美芳 1勝2敗

勝利打点 呉波 1

ファインプレー賞 水原茂 9


中尾輝三、1安打完封

 6回まで3安打無得点の巨人は7回、一死後吉原正喜が中前打から二盗に成功、林清一に代わる代打楠安夫は三振に倒れるが、呉波が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 巨人は8回、先頭の白石敏男が四球で出塁、水原茂は三邪飛に倒れるが千葉茂の右翼線ヒットで二死一三塁、千葉が二盗を決めて二死二三塁、川上哲治が中前に2点タイムリーを放って3-0と突き放す。


 黒鷲打線は中尾輝三の前に手も足も出ず、4回に富松信彦が放った中前打1本に抑え込まれた。初回は寺内一隆、富松が四球で出塁、小島利男の右飛で二走寺内がタッチアップから三進するが、一走富松が二盗に失敗、サム高橋吉雄は三振に倒れる。3回は富松がこの試合黒鷲唯一のヒットを中前に放つが併殺でチャンスを潰し、7回も2四球を選んだが得点には至らなかった。


 黒鷲は盗塁失敗でチャンスを潰したが、巨人は4盗塁を決めて得点を重ねていったのである。



             *中尾輝三は1安打完封で今季8勝目をあげる。






     *中尾輝三の前に1安打に完封された黒鷲打線。











16年 阪急vs朝日 6回戦


7月1日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 1 0 2 阪急 20勝14敗 0.588 橋本正吾 中田武夫 森弘太郎
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 11勝23敗 0.324 福士勇

勝利投手 森弘太郎 12勝3敗
敗戦投手 福士勇    7勝13敗

二塁打 (急)上田

勝利打点 日比野武 2


阪急六連勝

 朝日は2回、一死後室脇正信が四球で出塁、伊勢川真澄の右前打で一死一二塁、岩田次男は左飛に倒れて二死一二塁、福士勇の二遊間へのゴロをセカンド伊東甚吉が二塁ベースカバーの上田藤夫にトスするがセーフ、三塁に達した二走室脇がホームに向かい、上田からのバックホームが悪送球となる間に生還して1点を先制する。

 阪急は4回、先頭のフランク山田伝が四球で出塁すると二盗に成功、上田藤夫の二ゴロが進塁打となって一死三塁、黒田健吾が右前に同点タイムリーを放って1-1とする。

 阪急は6回、又も先頭の山田が四球で出塁、上田が左翼線に二塁打、黒田は四球で無死満塁、しかし新富卯三郎の二ゴロで三走山田は本封、キャッチャー伊勢川が返す刀で三塁に送球するとオーバーランした二走上田が三本間に挟まれてタッチアウト、日比野武は遊ゴロに倒れてこの回無得点。

 阪急は7回、石井武夫が遊失に生き、西村正夫の左前打で二死一二塁、山田の左前打で二走石井がホームを狙うがレフト室脇からのバックホームにタッチアウト。

 阪急は8回、一死後黒田が左前打で出塁してワイルドピッチで二進、浅野勝三郎の遊ゴロをショート前田諭治がエラーして一死一三塁、日比野が決勝のスクイズを決めて2-1と勝ち越す。


 朝日にも勝機はあった。すなわち、3回は先頭の坪内道則が中前打で出塁するが、ここで先発の橋本正吾に代わって二番手として登場した中田武夫からの牽制球にタッチアウト、直後に戸川信夫が左前打、二死後鬼頭政一が四球を選んで一二塁とするが室脇は三振に倒れる。4回も岩田、福士の連打で一死一二塁とするが岩田が三盗に失敗、5回も先頭の坪内の四球を生かせず、6回は先頭の室脇が左前打で出塁、更にここでリリーフした森弘太郎から内野安打と四球で一死満塁とするが前田は浅い左飛、坪内は三振に倒れる。9回、一死後坪内が四球で出塁するが勝負を賭けた二盗をキャッチャー日比野に刺されて万事休す。


 山田、上田、黒田、日比野の活躍が目に付いた阪急は夏季シリーズ開幕六連勝を飾った。