2020年7月18日土曜日

21年 グレートリングvsセネタース 7回戦


7月26日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 0 0 1 0 1 0 0 6 グ軍 27勝19敗 0.587 松川博爾 
0 0 0 0 1 1 0 0 0 2 セ軍 19勝32敗 0.373 一言多十

勝利投手 松川博爾 3勝3敗
敗戦投手 一言多十 4勝8敗

二塁打 (グ)安井 (セ)熊耳2、北川

勝利打点 (グ)山本一人 4

松川博爾、大下を牛耳る

 第14節2日目、後楽園の第1試合は松川博爾と一言多十の先発で午後1時5分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、先頭の河西の当りは遊ゴロ、これをショート石原光男が一塁に悪送球、河西が二盗に成功、キャッチャー熊耳からの送球が悪送球となって河西は三進、安井が四球を選んで無死一三塁、田川の右飛で三走河西は動かなかったが一走安井がタッチアップから二塁を陥れる隙の無い走塁を見せて一死二三塁、山本一人監督がレフト線に2点タイムリーを放ち2-0、堀井の右前打で一死一三塁、堀井が二盗を決め、筒井のニゴロの間に三走山本が還って3-0、桶川隆が中前にタイムリーを放ち4点を先制する。

 グ軍は守っても初回に「5-4-3」、3回に「6-4-3」のゲッツーを決める。

 グ軍は5回表、先頭の安井が左中間に二塁打、田川の二遊間ヒットで無死一三塁、田川が二盗を決め、山本の左犠飛で5-0とする。

 セ軍は5回裏、一死後熊耳がレフト線に二塁打、石原に代わる代打北川圭太郎の右中間二塁打で1点返して1-5とする。

 セ軍は6回裏、先頭の鈴木清一がストレートの四球で出塁、飯島の右前打で無死一三塁、大下の左犠飛で2-5と追い上げる。

 グ軍は7回表、先頭の山本がストレートの四球で出塁、堀井が三塁に内野安打、筒井の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、桶川は浅い左飛に倒れるが、松川がストレートの押出し四球を選んで6-2と突き放す。

 セ軍は7回裏、先頭の根津弘司が四球を選んで出塁、清水喜一郎は二飛に倒れるが、トップに返り白木が四球を選んで一死一二塁、鈴木の投ゴロで白木は二封、飯島が四球を選んで二死満塁で大下を迎えるというスリリングな場面、一発出れば同点であったが大下はニゴロに倒れて万事休す。

 この日の大下は第1打席から三飛、左邪飛、左犠飛と、プルヒッターの大下としては珍しく左方向に打球が飛んでいたが、一発出れば同点という場面では力が入ったか二ゴロに終わった。大下が打撃を変えようとして左方向に打っていたのか、松川が大下に引っ張らせないピッチングに徹していたのか、真相は藪の中ではあるが、大下を封じ込めた松川のピッチングは「技能賞」に値する。

 松川博爾は6安打7四球1死球2三振の完投で3勝目をマークする。松川はこの試合で右打者の長持に死球を与えて今季与死球は5個目となって黒尾重明の7個に次いでリーグ2位である。シュートを武器にしていると推察されるが、そのシュートで大下に得意の引っ張るバッティングをさせなかったと見るべきであろう。松川は昭和19年は全35試合に遊撃手として出場していた。内野手出身らしい野手投げからのスリークウォーター気味の角度からシュートを武器にしていたのではないか。この年は通算で47打数14安打、打率2割9分8厘と、野手並みの打撃を見せることになる。

 グ軍はこれで7連勝。河西、安井、田川の上位が足でかき回して山本一人監督が返す「型」ができている。山本は46試合で43打点と現在打点王である。タ軍の本堂が39打点、土井垣が35打点で追っている。序盤戦の打点王森下重好は32打点で少し勢いが落ちてきた。

*松川博爾のような野手出身でシュートを武器にする投手としては、2000年夏の甲子園でチームを決勝まで導いた東海大浦安の「背番号4」のエース浜名翔を挙げることができる。画像は準決勝の育英戦。初回の投球の際、アナウンサーが「シュートボールばかりがクローズアップされていますが」と言っています。長いですが、初回の浜名のピッチングだけでも見てください。内野手出身投手の神髄を見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=DgfekOokp_M


2 件のコメント:

  1. ↓短いですが、松川博爾のインタビュー記事です。
    http://web.archive.org/web/19990209194059/http://www.nikkansports.com:80/osaka/ocp/ren/koibito25.html

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    1. 20数年前の日刊スポーツの取材記事がアーカイブで残っているとは貴重ですね。
      私も現在、某スポーツ紙でアルバイトをやっているので取材現場の雰囲気は分かります。
      内野手出身ピッチャーは肘を下げてのサイドハンド、キャッチャー出身のピッチャーは小さなテイクバックからのオーバーハンドになりやすい。還暦球界のNo1投手はサイドから信じられないようなスピードボールを投げますが、元は内野手だったとのことです。

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