2018年7月9日月曜日

19年 産業vs巨人 3回戦


6月4日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 産業 6勝8敗1分 0.429 森井茂
1 0 0 0 0 1 0 0 X 2 巨人 11勝3敗1分 0.786 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 5勝2敗
敗戦投手 森井茂     4勝7敗

二塁打 (産)金山、森井 (巨)木暮、中村
三塁打 (巨)呉

勝利打点 木暮力三 1


巨人、春季リーグ戦同率首位に並ぶ

 巨人はこの試合に勝てば阪神に追い付いて春季リーグ戦同率首位となります。

 巨人は初回、先頭の呉新亨が右中間奥深く三塁打、木暮力三がレフト線に二塁打を放って1点を先制、藤本英雄は二ゴロに倒れて一死二塁、中村政美の当りは左中間にフラフラと上がり、二走小暮はハーフウェイ、打球は左中間に落ちて打者走者の中村は二塁に進むが小暮は三塁ストップ、中村の記録は二塁打ながら一死二三塁、近藤貞雄は投ゴロ、川畑博は三ゴロに倒れて追加得点はならず。

 巨人は6回、先頭の木暮が四球を選んで出塁、藤本の中前打で無死一二塁、中村は二飛に倒れ、近藤の三ゴロで藤本が二封されて二死一三塁、ここでキャッチャー藤原鉄之助がパスボールを犯して三走小暮が還り2-0とする。

 藤本英雄は毎回走者を出しながら名古屋打線を無得点に抑え、8安打2四球7三振で今季4度目の完封、5勝目をあげる。

 ここで当ブログならではの珍しい記録をご紹介しましょう。

 昭和19年春季リーグ戦では延べ16回の完封勝利が記録され、藤本英雄が最多の4回をマークしている。無安打無得点は記録されておらず。最少被安打は1本で森井茂。藤本の4回の完封試合での被安打数は6本、7本、3本、8本であり、ワーストスリーを独占している。

 藤本英雄はランナーを出しながら得点させないピッチングであった。これは藤本のノーコンと無関係ではないでしょう。世間のイメージと違って、藤本のコントロールは悪かったため、走者を出しながらのピッチングに慣れていたのである。

 客観的数値によって検証してみましょう。藤本英雄は戦前の3年間で713回3分の1を投げて与四球は266個で、1試合当たり3.36個の四球を与えている。これが戦後になると、1,915イニングスを投げて与四球395個、1試合当たり1.86個の与四球と、コントロールが改善されるのである。

 藤本のコントロールが良かったのは、肩を壊してスライダーを中心とする技巧派に転向した戦後のことで、戦前の藤本は力任せの荒れ球で打者を牛耳っていたのである。当ブログの熱心な読者の方々は、これまで何度となく当ブログが藤本のコントロールの悪さを指摘してきたことをご存知であると思います。世間の風評など気にせずに、客観的事実に基づいて野球史を掘り起こしていくのが、当ブログの流儀です。

 

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