2025年12月13日土曜日

続・代走の代走

  昭和22年8月3日の太陽vs阪急11回戦において、太陽の藤本定義監督が8月1日の南海戦に続いて「代走の代走」を起用したことをお伝えしました。

 先日お伝えした3事例に加えて4事例目が判明しましたが、更にもう一つ「代走の代走」が起用された事例がありました。

 昭和15年10月7日、西宮球場で行われた阪急vs金鯱11回戦において、金鯱の石本秀一監督が「代走の代走」を起用していました。詳しくは2013年4月27日付け記事をご参照ください。

 当ブログも更新が5,000回を超え、筆者もいつどこに何を書いたかを忘れています。当ブログは検索機能が充実しており、左上の検索用タブに検索ワードを入力すると過去記事を検索することができます。「代走の代走」を入力してヒットしました。自分で書いておいて自分で単語検索するのもおかしな話ですが、15年間続けていますので悪しからず。

 さて、昭和15年10月7日の阪急vs金鯱11回戦、0対2と2点のビハインドで迎えた9回裏金鯱の攻撃、先頭のピッチャー中山正嘉がレフト線ヒットで出塁すると、石本秀一監督は代走に山本次郎を起用、一死後飯塚達雄に代わる代打古谷倉之助が中前打で一死一二塁、トップに返り五味芳夫が四球を選んで一死満塁となります。山本が二塁に進んだときか三塁に進んだときかは分かりませんが、石本監督は代走山本に代えて「代走の代走」として新井一を起用、二死後農人渉が左前に同点の2点タイムリーを放って追い付き、その後2四球を得てサヨナラ勝ちしました。

 石本秀一監督も藤本定義監督と並んで「策士」として知られています。矢張り、「代走の代走」は深い作戦であることは間違いないでしょう。

 なお、新井一はプロ野球に在籍したのはこの年だけ(戦後は国民野球連盟の大塚アスレチックスに在籍した模様)で、通算成績は17打数2安打1得点1打点。この試合で「代走の代走」に起用されてホームに還ったのがプロ野球で記録した唯一の得点でした。

 当ブログは今後も、世界で唯一の「代走の代走」研究機関として邁進していく所存です(笑)。

2025年12月12日金曜日

22年 太陽vs阪急 11回戦

8月3日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 1 0 1 2 5 太陽 26勝38敗3分 0.406 井筒研一 真田重蔵 
0 1 0 0 2 0 0 0 0 3 阪急 32勝35敗2分 0.478 今西錬太郎

勝利投手 井筒研一       6勝6敗 
敗戦投手 今西錬太郎 14勝8敗 
セーブ     真田重蔵    1

二塁打 (急)青田
三塁打 (太)辻井

勝利打点(太)辻井弘 2

猛打賞 (太)藤井勇 8


辻井弘、9回に決勝三塁打

 西宮の第1試合は井筒研一と今西錬太郎の先発で午後1時32分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は2回表、先頭の伊勢川真澄が中前打で出塁、荒川昇治はストレートの四球で無死一二塁、一死後松井信勝の右前打で一死満塁、井筒の二ゴロの間に三走伊勢川が還って1点を先制する。

 阪急は2回裏、先頭の野口明が左前打で出塁、坂元義一の左前打で無死一三塁、楠安夫の中前タイムリーで1-1の同点に追い付く。

 阪急は5回裏、一死後上田藤夫が中前打で出塁、青田昇のレフト線二塁打で無死二三塁、ワイルドピッチで三走上田が生還して2-1と勝越し、野口明の遊ゴロをショート松井が失して三走青田が還り3-1とする。

 太陽は6回表、先頭の藤井勇が二遊間にヒット、森下重好の中前打で無死一二塁、中谷順次の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってゲッツー、二死三塁から伊勢川が中前にタイムリーを放ち2-3と1点差に迫る。

 太陽は8回表、一死後辻井が一塁線に内野安打、藤井の右前打で無死一二塁、森下がレフト線にタイムリーを放ち3-3の同点に追い付く。

 太陽は9回表、先頭の荒川が四球を選んで出塁、佐竹一雄の三ゴロでランナーが入れ替わり、佐竹の代走に池田善蔵を起用、松井の三ゴロをサード荒木茂がエラーして一死一二塁、池田が二塁に進んだところで藤本定義監督は8月1日の南海戦に続いて又も「代走の代走」として湯浅芳彰を起用、二死後トップに返り辻井が右中間に殊勲の2点タイムリー三塁打を放ち5-3とリードする。 

 阪急は9回裏、先頭の日比野武が中前打で出塁すると代走に天保義夫を起用、下社邦男に代わる代打山田伝が四球を選んで無死一二塁、太陽の藤本監督はここで先発の井筒に代えて真田重蔵をリリーフに起用、荒木茂に代わる代打野口二郎の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってゲッツー、真田は続く今西も抑えて今季初セーブをあげる。

 真田重蔵のリリーフ登板は今季4回目であるが、4月22日の近畿戦、5月8日の中日戦、6月13日の阪急戦と、過去3回は何れもリリーフに失敗して敗戦投手になっていた。藤本定義監督は真田の状態が上がってきていることを見抜き、4度目のリリーフに起用して成功したのである。

2025年12月11日木曜日

22年 金星vs東急 9回戦

8月3日 (日) 桐生新川

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
1 1 0 0 3 0 2 0 1  2  10 金星 25勝40敗1分 0.385 江田孝 内藤幸三 
2 1 1 0 1 0 3 0 0  0   8  東急 24勝37敗2分 0.393 白木義一郎

勝利投手 内藤幸三       8勝9敗 
敗戦投手 白木義一郎 12勝14敗

二塁打 (金)小前、大友、坪内 (東)大下、長持
三塁打 (金)酒沢
本塁打 (東)大下弘 6号、7号

勝利打点 なし

猛打賞 (金)酒沢政夫 3、坪内道則 8 (東)鈴木清一(4安打)2、大下弘(4安打)5


白木と大下のWエラーでシーソーゲームに決着

 第16節4日目、桐生新川の第1試合は江田孝と白木義一郎の先発で午後零時2分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 いつもより1時間早い試合開始となった。恐らく第2試合終了後に東京に帰る列車の時間の都合であろう。桐生での試合は2日間だけなので、前夜は近くで一泊して本日は帰京するはずである。今夜も宿泊であれば試合時間を早める必要は無い。

 桐生までの交通手段は、東京から高崎線で高崎に出て、高崎から新前橋を経由して上毛線で西桐生まで行く方法以外には考えにくい。高崎と新前橋は上越線で接続されている。待ち時間を考慮すると、新幹線が無かった当時だと桐生から東京までは3時間近くかかったのではないか。

 金星は初回、先頭の酒沢政夫が右越えに三塁打、一死後坪内道則監督の左犠飛で1点を先制する。

 東急は1回裏、先頭の鈴木清一が左前打で出塁、一言多十も三遊間を破り、レフト小前博文がこの打球を後逸する間に一走鈴木が一気にホームに還って1-1の同点、打者走者の一言は三塁に進み、一死後大下弘がセンターにタイムリー二塁打を放ち2-1と逆転に成功する。

 金星は2回表、前の回にタイムリーエラーを犯した先頭の小前が右越えに二塁打、門馬祐の中前タイムリーで2-2の同点に追い付く。

 東急は2回裏、二死後苅田久徳監督がノーボールツーストライクから粘って四球で出塁すると二盗に成功、鈴木の2打席連続ヒットが右前タイムリーとなって3-2と勝ち越す。

 東急は3回裏、二死後大下が右越えに豪快な第6号ホームランを放ち4-2とリードを広げる。

 金星は5回表、一死後江田が三塁線に内野安打、トップに返り酒沢が右前打、大友はストレートの四球で一死満塁、坪内の右前タイムリーで3-4と1点差、西沢道夫が左前に逆転の2点タイムリーを放ち5-4とリードする。

 東急は5回裏、先頭の鈴木清一が3打席連続ヒットとなる中前打で出塁、金星ベンチはここで先発の江田から内藤幸三にスイッチ、一死後飯島滋弥の当りはセンター後方に飛ぶが坪内が名人芸を見せてホームランキャッチ、二死一塁から大下の当りはライトの石壁を直撃する当りとなって一走鈴がホームインし5-5の同点、大下は一塁にストップとなったが打点は記録されており、一塁走者を還すタイムリーシングルヒットとなった。

 金星は7回表、先頭の酒沢が中前打で出塁、大友が右中間にタイムリー二塁打を放ち6-5、坪内の三塁内野安打で無死一三塁、一死後清原初男が中前にタイムリーを放ち7-5とリードする。

 東急は7回裏、先頭の苅田が遊失で出塁、トップに返り鈴木清一が4打席連続ヒットとなる右前打を放って無死一二塁、一言の送りバントは捕邪飛となって失敗、飯島は三振に倒れて二死一二塁、ここで大下が右越えに豪快な第7号逆転スリーランを放ち8-7と試合をひっくり返す。

 金星は9回表、一死後大友が左前打で出塁、坪内のライト線二塁打で一死二三塁、西沢のレフトへの痛烈なライナーが犠飛となって8-8の同点に追い付く。

 金星は10回表、先頭の小前が三塁線に内野安打、門馬に代わる代打坂本勲が右前打を放って無死一二塁、中村信一の送りバントはピッチャー白木の守備範囲に転がり白木は三塁に送球、しかしこれが悪送球となって二走小前はホームイン、白木の悪送球をカバーしたレフト大下からの返球も悪送球となって一走坂本もホームに還り10-8と2点をリードする。

 東急は10回裏、一死後長持栄吉が左中間に二塁打、鈴木圭一郎は4球ファウルで粘って四球を選び一死一二塁、しかし白木の二遊間へのゴロをセカンド大友が捕球すると自らベースを踏んで一塁に転送、「4B-3」の併殺が完成してシーソーゲームに終止符を打つ。

 大下弘は4安打2本塁打6打点と爆発したが、肝心なところで悪送球。東急は白木と大下の2大スター選手によるWエラーで痛い星を落とした。

2025年12月7日日曜日

22年 阪急vs南海 9回戦

8月2日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 2 1 0 0 2 5 阪急 32勝34敗2分 0.485 野口二郎
3 0 0 0 0 1 0 0 0 4 南海 34勝29敗3分 0.540 丸山二三雄 別所昭

勝利投手 野口二郎   11勝11敗 
敗戦投手 丸山二三雄 8勝8敗

勝利打点(急)青田昇 6

猛打賞 (南)山本一人 4


南海、別所投入が裏目

 西宮の第2試合は野口二郎と丸山二三雄の先発で午後3時28分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は初回、先頭の安井亀和が中前打で出塁、河西俊雄が左前打で続いて無死一二塁、田川豊の三塁内野安打で無死満塁、山本一人監督が左前に2点タイムリーを放ち、一走田川が三塁に向かうと打者走者の山本も一塁ベースを回って二塁を狙い、レフト山田伝は二塁に送球、この隙を突いて三塁に進んでいた田川がホームに還る好走塁を見せて3点を先制する。

 阪急は5回表、先頭の坂元義一が四球で出塁、日比野武の右前打で無死一二塁、一死後荒木茂はストレートの四球を選んで一死満塁、二死後トップに返り田中幸男が中前に2点タイムリーを放ち、2-3と1点差に迫る。

 阪急は初回から3回まで三者凡退、4回に上田藤夫が初ヒットを放ち、5回になって丸山を捕まえた。

 阪急は6回表、一死後野口明がセンター右にヒット、坂元は右前に抜けるヒット、これをライト田川がファンブルする間に一走野口明は三塁に進んで一死一三塁、日比野が左前に同点タイムリーを放ち3-3と追い付く。

 南海は6回裏、一死後山本が左前打で出塁、飯田徳治も中前打で続き、堀井数男の投ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、丸山の一塁線タイムリーで4-3と勝ち越す。

 阪急は9回表、一死後野口二郎が左前打で出塁、荒木に代わる代打楠安夫が中前打で続いて一死一二塁、楠に代わって代走に西村正夫が登場、山田に代わる代打安井鍵太郎が四球を選んで一死満塁、南海ベンチはここで先発の丸山に代えてエース別所昭を投入、トップに返り田中のカウントスリーボールワンストライクからの5球目はストライク、この時キャッチャー筒井敬三が一塁に送球、一塁ベースにはセカンド安井亀和が入って一走安井鍵太郎はタッチアウト、田中は四球を選んで二死満塁、上田藤夫が押出し四球を選んで4-4の同点、青田の三塁線ヒットがタイムリーとなって5-4と逆転に成功する。

 野口二郎は最終回を三者凡退に抑え、13安打を打たれながら無四球2三振の完投で11勝目をマークする。

 南海はエース別所の投入が裏目に出て逆転負け。

 9回表に一走安井鍵太郎がキャッチャー筒井敬三からの送球に刺された場面は、スコアカードに「2-4A」と書かれていることから一塁ベースカバーにセカンド安井亀和が入ったことが分かる。形だけ見るとサードとファーストが突っ込んでセカンドが一塁ベースカバーに入り、ピッチャーがウエスとして飛び出した一塁ランナーを刺す「ピックオフプレー」のようにも見えるが、満塁でカウントがスリーボールワンストライクなのでピッチャーはウエストするとはできず、ストライク投球だと打たれた場合にヒットになる可能性が高まるので、この場面で「ピックオフプレー」を選択する可能性は考えられない。

 となると、田中のスクイズが空振りストライクとなり、三走野口二郎がサインを見逃していてスタートを切っておらず、サイン通りスタートを切っていた一走安井鍵太郎が刺された可能性が考えられる。このケースだとファースト飯田徳治は打者のスクイズの構えを見たら前に突っ込み、セカンド安井亀和は一塁ベースカバーに向かうことになる。この時代にはまだセーフティスクイズが存在していた可能性は低く、仮にセーフティスクイズであったならば一走安井鍵太郎がスタートを切ることもない。

*9回に一走安井鍵太郎がキャッチャーからの送球に刺された場面。田中幸男の打席でカウントスリーボールワンストライクからの5球目、ストライク投球の時で、(2-4A)と記載されているとおり、セカンド安井亀和が一塁ベースカバーに入ったもの。

2025年12月6日土曜日

22年 東急vs中日 9回戦

8月2日 (土) 桐生新川

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 1 0 0 0 2 東急 24勝36敗2分 0.400 北川桂太郎 
1 0 0 0 0 0 3 0 X 4 中日 38勝24敗1分 0.613 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄   17勝10敗 
敗戦投手 北川桂太郎 2勝8敗

二塁打 (東)一言2、飯島 (中)三村

勝利打点(中)金山次郎 3

猛打賞 (東)飯島滋弥 2


藤本英雄、大下を徹底マークで17勝目

 桐生新川の第2試合は北川桂太郎と藤本英雄の先発で午後2時53分、島球審の右手が上がりプレイボール。一塁塁審は円城寺審判員。

 東急は初回、一死後一言多十が右越えに二塁打、続く飯島滋弥が左中間にタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。

 中日は1回裏、先頭の杉江文二の当りは遊ゴロ、これをショート鈴木清一がエラー、金山次郎の送りバントは三塁ファウルフライとなって失敗、大沢清のショートへの内野安打で杉江は三塁に進んで一死一三塁、加藤正二の左犠飛で1-1の同点に追い付く。

 東急は3回表、先頭の苅田久徳監督が四球で出塁するが、ここから藤本が鈴木、一言、飯島を3連続三振に抑え込む。

 中日は5回裏、先頭の藤原鉄之助が左前打で出塁、三村が送りバントを決めて一死二塁、二死後金山の中前打で二走藤原は三塁ベースを蹴ってホームに向かうが、センター一言からの好返球にタッチアウト。

 東急は6回表、一死後一言がライトに二塁打、飯島の左前タイムリーで2-1と勝越しに成功する。

 中日は7回裏、一死後藤原が左前打で出塁、三村の右中間二塁打で一死二三塁、トップに返り笠石徳五郎は四球を選んで一死満塁、ここで金山が左前に逆転の2点タイムリー、レフト大下の後逸もあって一走笠石もホームに還り4-2とする。

 藤本英雄は8安打1四球8三振の力投で9回を完投、17勝目をマークしてハーラートップの別所に1勝差と迫る。

 藤本は徹底的に大下をマークした。

 この日の大下は4打数1安打。ヒットを打った第2打席は先頭打者で、残りの3打席は全てヒットで出た飯島を塁に置いての打席であったが全て藤本に抑えられた。第1打席と第3打席は飯島がタイムリーを放った直後であったが追撃打を放つことはできなかったのである。

 現在の最高投手と最高打者の対決は、この日は藤本に軍配が上がった。

2025年12月5日金曜日

22年 大阪vs太陽 7回戦

8月2日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 大阪 44勝20敗3分 0.688 御園生崇男 
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 太陽 25勝38敗3分 0.397 真田重蔵

二塁打 (大)呉昌征
三塁打 (太)荒川

勝利打点 なし

猛打賞 (太)荒川昇治(4安打)1


御園生と真田の投げ合いで0対0の引分け

 西宮の第1試合は御園生崇男と真田重蔵の先発で午後1時38分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の呉昌征が左前打で出塁、しかし真田の牽制に刺されてチャンスを潰す。

 大阪は3回表、二死後御園生が左前打で出塁、トップに返り呉のライト線二塁打で二死二三塁、金田正泰は四球で二死満塁、富樫淳の当りは投前にボテボテの当り、これを真田が冷静に判断して本塁に送球、三走御園生がフォースアウトとなって無得点。一塁に投げて悪送球になる可能性を考えての頭脳的プレーであった。

 太陽は3回裏、先頭の荒川昇治が右越えに三塁打を放って先制のチャンスを作るが後続なく無得点。

 太陽は6回裏、先頭の真田が三塁線にヒット、トップに返り辻井弘が送りバントを決め、藤井勇は四球で一死一二塁、しかし主砲森下重好と四番中谷信夫は凡飛に倒れて無得点。
 太陽は9回裏、先頭の藤井が左前打で出塁、しかし続くクリーンナップトリオが倒れて無得点。試合は延長戦へ。

 大阪は10回表、先頭の玉置玉一が中前打で出塁、武智修の送りバントが野選を誘って無死一二塁、一死後ダブルスチールを試みるが玉置がキャッチャー伊勢川真澄からの三塁送球に刺されて失敗、二死二塁から呉が四球を選んで一二塁とするが、金田正泰の当りはファーストライナーとなってスリーアウトチェンジ。

 大阪は12回表、二死後武智が右前打で出塁すると二盗を決めて二死二塁と最後のチャンス、しかし御園生は右飛に倒れて無得点。

 太陽は12回裏、先頭の伊勢川が二遊間にヒット、藤本定義監督は最終回とあってキャッチャー伊勢川に代えて代走の切り札蔵本光夫を起用、佐竹一雄が四球を選んで一死一二塁、佐竹に代えて代走に湯浅芳彰を起用、荒川がこの日4本目のヒットを右前に放ち、二走蔵本は三塁ベースを蹴ってサヨナラのホームに突っ込むが、ライト富樫からの返球にタッチアウト。ピッチャー経験もある富樫の強肩がチームを救う。

 最後はスリリングな展開となったが0対0の引き分けに終わった。

 御園生崇男は12回を投げて7安打2四球2三振無失点。開幕14連勝を逃した。

 真田重蔵は12回を投げて8安打3四球4三振無失点。これまでもお伝えしてきたように真田は調子を上げてきている。昨年は25勝をマークしながら今季はここまで9勝止まりであるが、後半戦は勝ち星を伸ばしてくるのではないか。

2025年11月28日金曜日

22年 巨人vs金星 12回戦

8月2日 (土) 桐生新川

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 1 0 2 0 5 巨人 32勝32敗1分 0.500 川崎徳次
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金星 24勝40敗1分 0.375 内藤幸三 三富恒雄

勝利投手 川崎徳次 11勝8敗 
敗戦投手 内藤幸三   7勝9敗

二塁打 (巨)呉、川上 (金)内藤

勝利打点(巨)呉新亨 2

猛打賞 (巨)田中資昭 2


巨人、桐生で勝率5割復帰

 本日より地方遠征がスタート。

 当ブログの実況中継クルーが桐生に遠征するのは昭和20年11月24日の東西対抗第2戦と翌日の東軍vs全桐生戦以来のことになる(2019年7月15日及び19日の実況中継参照)。

 第16節3日目、桐生新川球場の第1試合は川崎徳次と内藤幸三の先発で午後0時56分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。7月24日の後楽園で審判デビューした円城寺満審判員も桐生遠征に帯同して三塁塁審を務める。

 巨人は2回表、一死後中島治康が四球を選んで出塁、呉新亨が右中間にタイムリー二塁打を放ち1点を先制、武宮敏明の左前打で一死一三塁、川崎の左前タイムリーで2-0とする。

 巨人は6回表、先頭の平山菊二が中前打で出塁、中島の左前打で無死一二塁、ワンストライクからの2球目がワイルドピッチで二者進塁、カウントワンボールワンストライクの場面で金星ベンチは先発の内藤に代えて三富恒雄をマウンドに送り、呉は四球を選んで無死満塁、この場合の与四球は三富に記録され、武宮の左犠飛で1点追加、3-0とリードを広げる。

 巨人は8回表、一死後呉新亨、武宮、川崎が3連続四球で満塁、トップに返り山川喜作が三塁にタイムリー内野安打を放ち4-0、なおも続く一死満塁から田中資昭の遊ゴロ併殺崩れの間に三走武宮が還って5-0とダメ押す。

 川崎徳次は4安打1四球1三振で今季6度目の完封、11勝目をマークする。

 川崎の力投に応えて先制、中押し、ダメ押しと着々と加点、巨人は5割に復帰した。

 昨年は北陸、北海道、九州に遠征したが、今年は桐生、徳島、長野に遠征することになる。

 戦前はシーズン中にもオープン戦が行われており、桐生新川球場でも何回かプロ野球の試合が行われた。

 終戦直後に行われた東西対抗第2戦と東軍vs全桐生の2試合は、プロ野球復活の象徴として歴史に名を刻んでいる。