2023年7月9日日曜日

22年 中日vs阪急 1回戦

4月25日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 2 0 1 3 7 中日 4勝2敗 0.667 藤本英雄 
0 0 0 0 0 1 0 3 1 5 阪急 1勝4敗 0.200 今西錬太郎

勝利投手 藤本英雄    3勝1敗 
敗戦投手 今西錬太郎 1勝1敗

二塁打 (中)加藤、藤本
三塁打 (急)下社
本塁打 (中)古川清蔵 1号

勝利打点(中)金山次郎 1

猛打賞 (急)青田昇 1


古川清蔵、勝負を決めるツーラン

 第2節初日、西宮の第1試合は藤本英雄と今西錬太郎の先発で午後1時丁度、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は3回表、先頭の藤本が二遊間にヒット、藤原鉄之助の右前打で無死一三塁、トップに返り岩本章の投ゴロで今西が二塁に送球するが三走藤本は動かず一走藤原鉄之助は二封、一塁はセーフで一死一三塁、岩本が二盗を決めて一死二三塁、金山次郎の右飛で三走藤本がタッチアップからホームを狙うが、ライト青田からの好返球にタッチアウト。

 中日は4回表、二死後杉浦清監督が中前打で出塁、加藤正二の左中間タイムリー二塁打で1点を先制する。

 中日は6回表、先頭の金山が四球で出塁、古川清蔵は三遊間にヒット、無死一二塁となってダブルスチール、キャッチャー野口明の三塁送球が悪送球となって金山が還り2-0、古川は三塁に進み、小鶴誠は四球を選んで無死一三塁、杉浦の中犠飛で3-0とする。

 阪急は6回裏、先頭の田中幸男が左前打で出塁、一死後青田の遊ゴロでランナーが入れ替わり、野口明の左前打で二死一二塁、坂井豊司の中前タイムリーで1点返して1-3と追い上げる。

 中日は8回表、一死後古川がストレートの四球から二盗に成功、小鶴も四球で一二塁、杉浦が左前にタイムリーを放ち4-1と突き放す。

 阪急は8回裏、先頭の青田が中前打で出塁、野口明の中前打で無死一三塁、坂井の中犠飛で2-4、下社邦男が右中間にタイムリー三塁打を放ち3-4と1点差、森田定雄の中犠飛で4-4の同点に追い付く。

 中日は9回表、先頭の藤本が左中間に二塁打、藤原鉄之助の二ゴロで藤本は三進、トップに返り岩本は四球、金山が中犠飛を打ち上げて5-4と勝ち越し、古川がレフトスタンドにツーランを叩き込んで7-4とリードする。

 阪急は最終回、先頭の今西が四球を選んで出塁、二死後青田の二遊間ヒットで一二塁、9回から野口明に代わってマスクを被る日比野武が右前にタイムリーを放ち5-7、西村正夫監督が「代走オレ」をコール、しかし坂井の二ゴロで西村が二封されてゲームセット。

 藤本英雄は14安打を浴びながらも2四球3三振の完投で3勝目をマークする。

 阪急は2点差に迫った最終回二死一三塁で鈍足の日比野に代えて代走のスペシャリスト西村正夫が一塁ランナーとなったので、勝負を賭けて盗塁か、坂井のカウントがツーボールワンストライクだったのでエンドランでも良かったかもしれないが、西村は動かなかったようだ。

 この試合では4本の犠牲フライを記録した。4本とも中犠飛で、9回の金山の中犠飛が決勝点となった。当時は「犠飛」は公式記録ではないので、全て凡打の扱いとなっている。

 勝利打点は「決勝犠飛」の金山次郎に記録されたが、試合を決めたのは古川清蔵のツーランであった。私が制作に協力したNHKドラマ「1942年のプレイボール」(2017年8月12日放送)の制作過程で、NHKのスタッフが当時95歳だった古川清蔵氏にインタビューを行った。古川氏は球界引退後は競馬評論家に転じており、球界との縁は断っていたのだが、NHKの古老アナウンサーとの縁でこのインタビューが実現した。学徒出陣から出征までの記憶を紐解きながらインタビューに答えていただいたが、その74年前の「記憶」と私が調べた「記録」がぴったりと符合しており、ドラマの演出家と一緒に驚いたものであった。古川氏はその約1年後に亡くなったが、頭脳の明晰ぶりは晩年まで衰えることはなかったのである。この日の一発も、今西錬太郎の配球を読み切ったものであったに違いない。
 

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