2018年12月17日月曜日

19年 阪急vs産業 4回戦


7月15日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
5 0 0 0 0 1 0 1 0 7 阪急 12勝9敗1分 0.571 天保義夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 産業 8勝13敗1分 0.381 森井茂

勝利投手 天保義夫 2勝1敗
敗戦投手 森井茂    5勝10敗

二塁打 (急)上田2、三木、坂田

勝利打点 三木久一 1

猛打賞 (急)上田藤夫(4安打) 1、大平茂 2 


天保義夫、1安打完封

 阪急は初回、先頭の山田が二前にプッシュバントヒットを決めて出塁、上田藤夫がレフト線に二塁打を放ち無死二三塁、坂田清春は遊ゴロに倒れるが、野口明が四球を選んで一死満塁、坂井豊司の三ゴロで三走山田はホームに走るがサード井上嘉弘からの送球に本封されて二死満塁、しかし三木久一がレフト線に二塁打を放って2点を先制、大平茂のショート内野安打で3-0、ショート金山次郎からの一塁送球が悪送球となる間に二走三木も還って4-0、打者走者の大平は二塁に進み、天保義夫の三塁内野安打で二死一三塁、伊藤健一の右前タイムリーでこの回5点を先制する。

 阪急は6回、一死後上田がこの試合2本目の二塁打をレフト線に放ち、坂田もレフト線二塁打で続いて6-0とリードを広げる。

 阪急は8回、先頭の山田がセンター右にヒット、ここで山田が二盗に成功、キャッチャー藤原鉄之助からの二塁送球が悪送球となる間に山田は三進、上田の中前タイムリーで7-0として試合を決定付ける。

 阪急先発の天保義夫は快調なピッチング。4回二死から野口正明に許した三塁内野安打が唯一の被安打。1安打6四球3三振の完封で2勝目をマークする。天保は昭和18年5月2日の南海戦でノーヒットノーランを達成したが、この時も6四球であった。

 上田藤夫が5打数4安打二塁打2本、前日の巨人戦でも勝利打点は記録されないものの並列の殊勲打を放っているが、2試合連続で「並列の殊勲打」を記録した。

 戦前最後のノーヒットノーランは昭和18年10月12日に記録した石丸進一である。昭和19年は試合数が少ないもののノーヒットノーランが記録されていてもおかしくないと思われるかもしれませんが、昭和19年になると職業野球聯盟も野球の継続は難しいと考えたのか、ストックしておいたニューボールを試合で使うようになり、活発な打撃戦が展開されたことがこの年ノーヒットノーランが記録されなかった要因であったと考えられる。実際、昭和18年の首位打者は巨人時代の呉昌征で打率3割ちょうど、三割打者は呉一人であったが、昭和19年の首位打者岡村俊昭の打率は戦前最高の3割6分9厘(初年度11年の中根之の3割割7分6厘を除く)で、三割打者は6人誕生することとなる。ホームランが乱発するほどではなかったものの、ボールの反発力が改善されたことが要因であると考えられている。

 現に、この試合の阪急は17安打を放っており、天保義夫の1安打完封は貴重な記録であったと考えられる。

 

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