2014年11月26日水曜日

17年 阪急vs黒鷲 3回戦


5月4日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
3 0 0 0 0 0 0 1 0  0   0   0  4 阪急 12勝8敗1分 0.600 中田武夫 森弘太郎
2 0 0 2 0 0 0 0 0  0   0   0  4 黒鷲   5勝15敗1分 0.250 石原繁三

二塁打 (急)森田

勝利打点 なし

猛打賞 富松信彦 1


石原繁三、7度の三者凡退

 阪急は初回、一死後西村正夫がツースリーからファウルで4球粘って四球を選び二盗に成功、黒田健吾の中前打で一死一三塁、この日も四番に入った森田定雄がレフト線に二塁打を放って1点を先制、阪急は44イニングぶりに得点をあげた。なお一死二三塁から中島喬の中犠飛で2点目、上田藤夫が中前タイムリーで続き3点を先制する。

 黒鷲は1回裏、先頭の渡辺絢吾がレフト線にヒットを放つが二塁を欲張り「7-4-3」と転送されてタッチアウト、しかし玉腰忠義が三塁内野安打で出塁、富松信彦の右前打で一死一二塁、木下政文の投ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、鈴木秀雄は投ゴロに倒れて万事休す、と思われた瞬間、ピッチャー中田武夫が一塁に悪送球、三走玉腰に続いて二走冨松も還って2-3と追い上げる。

 阪急は2回、二死後フランク山田伝と西村正夫が連続して三前にセーフティバントを決める妙技を見せるが黒田が三邪飛に倒れて無得点。

 黒鷲は2回裏、先頭の木村孝平が左前打、杉山東洋夫も右前打で続き無死一二塁、次のプレーはスコアカードには「石原繁三の打席でキャッチャー池田久之がセカンド江口行男に送球して一走杉山はタッチアウトとなったが江口にエラーが記録されて二走木村が三塁に進塁」と書かれている。「一走杉山のサイン違い又は二走木村のサイン見逃しで杉山が一二塁間に挟まれ、キャッチャー池田からの送球をセカンド江口が一走杉山にタッチした際にボールがこぼれ、杉山にはアウトが宣告されたがインプレーなので二走木村が三塁に走った。」と実況中継しますがいかがでしょうか。石原は四球を選んで一死一三塁、阪急ベンチはここで先発の中田から森弘太郎にスイッチ、渡辺は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 黒鷲は4回、先頭の鈴木が中前打で出塁、山田潔が送って一死二塁、木村の左前打で一死一三塁、杉山がライト線にタイムリーを放って3-3の同点、一走木村が三塁に走り、ライト西村からの三塁送球が悪送球となる間に木村がホームに還って4-3と逆転に成功する。

 3回から7回まで三者凡退を続けた阪急は8回、先頭の山田伝が中前打で出塁すると二盗に成功、西村が送って一死三塁、黒田の遊ゴロの間に三走山田が還って4-4の同点に追い付く。山田伝の脚で稼いだ得点であった。

 延長に入って阪急は10回、一死後山田伝が四球から再び二盗に成功、西村の二ゴロの間に山田は三進、黒田が歩かされ二盗を決めて二死二三塁、しかし森田は遊飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 黒鷲は12回裏、先頭の山田潔が四球を選んで出塁、木村が送って一死二塁と一打サヨナラのチャンス、しかし杉山は中飛、石原に代わる代打吉水幸夫は遊ゴロに倒れて無得点。ここで金政卯一主審が試合終了を宣告、引分けに終わった。好投を続ける石原繁三に代打が送られたということは、この回で打ち切られることが事前に通告されていたのかもしれない。


 石原繁三は12回を完投して7安打3四球2三振、5イニング連続を含む7度の三者凡退を記録した。石原は4月23日の朝日戦でも9回で7度の三者凡退を記録している。9回の試合では昭和15年4月14日に浅野勝三郎が四球1個で準完全試合を達成して8度の三者凡退を記録しており、石原の記録は史上第二位となる(昭和17年5月4日現在)。戦後は完全試合が多発するので、9回で9度の三者凡退が複数回記録されることとなる。








*軍部からの圧力で「引き分け」は自粛していたが、この試合は12回で打ち切られた。試合開始は午後1時7分、試合終了は2時49分、第二試合を考慮したものでしょうか。











 

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