2020年2月7日金曜日

序盤戦の山場


 第9節は5日間東西で4試合ずつの20試合、ペナントレースは序盤戦の山場を迎えた。

 首位に立つ巨人は徐々に陣容を整えてきたがしばらく藤本英雄の登板がない。怪我であるのか、中島監督の復帰により監督を降ろされたことが原因であるのか不明であるが、安定している近藤貞雄を中心とするローテーションとなる。


 開幕から首位を突っ走ってきた阪急は勢いが落ちてきた。投手陣の駒は揃っているが軸がいないところが難点。


 機動力のグレートリング、打線が売り物のタイガースが後を追う。個性派揃いのパシフィックとゴールドスターも侮れない存在。


 中部日本は森井茂のスローボールが慣れられてきて投手陣が弱く、強力打線が生かされていない。セネタースは白木義一郎が復帰してきて巻き返しを狙う。


 一週間ごとの平均観客数を見てみると、
4,656人-3,086人-4,941人-5,682人-5,380人-4,924人-5,866人
と、徐々に増加傾向にある。


 世情も落ち着きを取り戻しつつあり、球場に押し掛ける観衆の熱気がショーマンシップに溢れる山田伝と安井亀和の「野球鬼ごっこ」を生んだ。この後も藤村冨美男のパフォーマンスが発揮され、白木義一郎が投ゴロを一旦キャッチャー熊耳に投げ返してから一塁に転送するという、現代の管理野球ではあり得ないようなプレーも生まれる。


 現代の「基準」で見るのではなく、当時の「時代背景」を考えながら「実況中継」に耳を傾けてみてください。



2 件のコメント:

  1. 巨人の監督人事ですが、大井廣介によれば多田文久三と中尾輝三が反旗を翻し、代表の市岡忠男は千葉茂を相談役としていて、藤本英雄は名ばかり監督だったとか。
    ベースボールマガジン「プロ野球トラブルの歴史」の座談会にて藤本本人が語ったところによれば、市岡は早大の後輩として可愛がっていた中島治康が大戦末期に退団したことに腹を立て、新監督の藤本に対して裏切り者の中島は断固として復帰を許さないと口癖のように言っていたが、戦後になってから球団内で中島復帰の要望が出てきて藤本はあえなく監督の座から降ろされ、中島もプロ野球に戻る意思は無かったが、まだ巨人復帰前の川上哲治が説得して了承を得たそうです。
    藤本が不信感を覚えて巨人を去った理由としては、ウィキペディアに記載されている契約金問題と、上記の監督人事によるものが大きいようです。
    戦後1リーグ時代も色々とキナ臭い騒動が幾つかあるんですが、まだまだフォローしきれていません。

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    1. まぁ、タイミングからは怪我とは考えにくいですね。各球団の思惑が渦巻いてくる時期になると思いますが、グラウンドに出れば選手には関係ない。

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