2012年8月17日金曜日

15年 イーグルスvsジャイアンツ 3回戦


5月4日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 1 1 0 3 イーグルス   10勝11敗1分 0.476 中河美芳
0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 ジャイアンツ 14勝7敗 0.667 楠安夫 川上哲治

勝利投手 中河美芳 2勝3敗
敗戦投手 川上哲治 1勝2敗

二塁打 (イ)杉田屋
本塁打 (イ)寺内 2号

勝利打点 なし


中河美芳、スローボールで翻弄

 ジャイアンツは5月1日の大毎杯決勝の阪急戦で完投して四連覇を達成したスタルヒンを温存して楠安夫が先発、イーグルスは中河美芳が先発する。

 ジャイアンツは4回、一死後吉原正喜、呉波が連続四球、楠は中飛に倒れるがトップに返り白石敏男の二遊間安打で吉原が還って1点を先制する。

 イーグルスは6回、一死後4回から菅利雄に代わってファーストに入っている長谷川重一がストレートの四球を選んで出塁、杉田屋守の右中間二塁打が同点タイムリーとなって1-1とする。

 ジャイアンツは6回裏、一死後吉原がストレートの四球で出塁、キャッチャー清家忠太郎からの牽制悪送球で吉原が二進、更に吉原が三盗、清家の送球が又も悪送球となって吉原が生還し2-1と勝ち越す。この後呉は三振、楠がストレートの四球、白石もストレートの四球、水原茂が左前打を放って二死満塁、しかし千葉茂が投ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。ここは中河が踏ん張った。

 イーグルスは7回、一死後寺内一隆が左翼スタンドに同点ホームランを叩き込んで2-2とする。

 同点に追い付かれたジャイアンツは8回から楠を下げて川上哲治がファーストからマウンドに上がりファーストには永澤富士雄が入る。

 イーグルスは8回、先頭の長谷川が四球で出塁、杉田屋の遊ゴロの間に長谷川が二進、竹内功右前打で一死一三塁、ここで川上がワイルドピッチ、三走長谷川が決勝のホームを踏む。川上のリリーフは失敗した。


 翌日の読売新聞によると、中河美芳はセンターからの追い風にもかかわらず徹頭徹尾スローボールを投げ続け、時折スロードロップを混ぜてジャイアンツ打線のタイミングを外したとのことである。一時逆転を許した6回二死満塁を抑えたところが勝負の急所であった。中河は3安打11四球4三振の完投で2勝目をあげる。

 4回からファーストに入った長谷川重一が2つの四球を選び最初の同点と決勝のホームを踏んでラッキーボーイとなった。

 4連勝後昨日エース亀田忠でジャイアンツに敗れたイーグルスが雪辱して借金1に戻した。セネタース、名古屋と激しい首位争いを続けるジャイアンツはスタルヒンを温存して痛い敗戦となった。











        *中河美芳は11四球を出しながらスローボールでジャイアンツ打線を翻弄した。

















2012年8月16日木曜日

15年 ジャイアンツvsイーグルス 2回戦


5月3日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 0 1 0 0 0 4 ジャイアンツ 14勝6敗 0.700 中尾輝三
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 イーグルス     9勝11敗1分 0.450 亀田忠

勝利投手 中尾輝三 4勝3敗
敗戦投手 亀田忠     7勝6敗

二塁打 (ジ)水原、川上
本塁打 (ジ)中島 1号

勝利打点 千葉茂 3


中島治康今季初ホーマー

 ジャイアンツは中尾輝三、4連勝中のイーグルスはエース亀田忠の両剛球投手が先発。

 ジャイアンツは初回、先頭の白石敏男は一直に倒れるが水原茂が左翼線に二塁打、千葉茂が中前に先制タイムリーを放って1-0、中島治康が左翼スタンドに今季初ホームランを叩き込んで3点を先制する。

 ジャイアンツは6回、一死後平山菊二が右前打で出塁して二盗に成功、二死後吉原正喜が右前にタイムリーを放って4-0とする。

 7回まで2安打、3つの併殺を喫して無得点のイーグルスは8回、一死後寺内一隆が9球粘って四球で出塁、竹内功の三ゴロの間に寺内が二進、清家忠太郎が四球を選んで二死一二塁、山田潔に代わる代打菅利雄が中前にタイムリーを放って1-4とする。

 イーグルスは9回も先頭の岡田福吉が四球で出塁するが岩垣二郎に代わる代打木下政文は三振、中河美芳の二ゴロの間に岡田は二進するが谷義夫が三振に倒れてゲームセット。
 中尾輝三は3安打4四球3三振の完投で4勝目をあげる。


 中島治康が今季初ホームランを放った。本日の勝利打点は先制打の千葉茂に記録されたが、実質的に試合を決めたのは中島の一発であった。

 ジャイアンツは14勝6敗として勝率7割に乗せた。セネタースとゲーム差なしではあるが勝率で2分2厘下回って二位に付けている。







               *中尾輝三は3安打完封で4勝目をあげる。















 

19個


 2回戦の常総学院戦も19奪三振であったが今日は常総打線に喰らいつかれた。


 前半は常総の裏をかいてストレート主体のピッチングだった。手も足も出ない感じは1回戦の今治西戦と同じだったが今治西と違ったのは常総には松井を研究する時間があったことだ。低目のスライダーがワンバウンドするので点差に関係なく脚を使った攻めが効果的だった。3点差に追い付くタイムリーは打席で半歩投手寄りに動いてスライダーの落ち際を叩いたものである。


 今日の松井はキャッチャーの好リードに助けられた。1回戦では見せなかったチェンジアップが効果的であった。スライダーの良さが言われがちであるが、当ブログはストレートを評価している。スピード表示のマックスが145キロ程度なのでストレートがいいと言うには度胸がいるが、ストレートの勢いとキレがいいからスライダーが生きていると見ている。特に右打者の外角低めのストレートは江夏も武器にしていた。チェンジアップも効果的に使える。と書いたところで松井の談話が入ってきたが「チェンジアップは今日から使った。まだまだ引き出しがある。」と言っている。


 今日最も評価できる点は8回に2点差に追い上げられた9回にギアチェンジできたことである。光星学院、大阪桐蔭の打線は今治西、常総を上回る。徹底マークされるのは間違いないので3回戦以降ますます苦しくなってくるが、楽しみな逸材であることは間違いない。






15年 セネタースvs金鯱 3回戦


5月3日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  
0 1 0 0 0 0 1 1 0  3 セネタース 13勝5敗2分 0.722 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 金鯱            7勝13敗1分 0.350 古谷倉之助 中山正嘉

勝利投手 野口二郎     6勝2敗
敗戦投手 古谷倉之助 2勝5敗

本塁打 (セ)石井 1号

勝利打点 石井豊 1


野口二郎快投!

 初回一死満塁のチャンスを逃したセネタースは2回、先頭の石井豊が初球を左翼スタンドに先制ホームラン、1-0とする。

 金鯱は6回から先発の古谷倉之助がファーストに回りファーストの上野義秋がライトに、ライトの室脇正信がセンターに回ってセンターの新井一に代わって中山正嘉が入ってピッチャーというシフトをとる。

 セネタースは7回、先頭の佐藤武夫がツースリーから四球、村松長太郎がストレートの四球を選んで無死一二塁、トップに返り苅田久徳の送りバントを中山がファンブル、犠打エラーとなって無死満塁、横沢七郎の遊ゴロの間に佐藤が還って2-0とする。

 セネタースは8回、先頭の山崎文一がツースリーから四球を選んで出塁、小林茂太が左翼線にヒット、柳鶴震の三ゴロで山崎文一は三封、石井豊は三飛に倒れて二死一二塁、佐藤の左飛をレフト森田実が落球する間に小林が還って3-0とする。

 野口二郎が快心のピッチングを見せた。4回まで3人ずつで片付けるパーフェクトピッチング、5回に先頭の長島進をツーナッシングと追い込みながら四球で歩かせ古谷に送りバントを決められるが瀬井清を三振、上野を右飛に打ち取る。二塁を踏ませたのはこの回だけであった。

 6回は中山、五味芳夫から連続三振を奪って三者凡退。ノーヒットノーランが見えてきた7回、森田を三振、室脇を二飛に打ち取るが長島に左翼線に初安打を許す。

 野口二郎は9回二死から森田にこの日2個目の四球を与えるが最後は室脇を三振で締めて、1安打2四球7三振の完封で6勝目をあげる。野口は3月31日のタイガース戦9回二死から失点して以来、35回3分の1連続無失点を続けている。

 セネタースはこれで9連勝、球団創設以来最もチームの状態は良い。







                *野口二郎は1安打完封で6勝目をあげる。







     *野口二郎に1安打に封じられた金鯱打線。



























2012年8月15日水曜日

15年 4月 月間MVP


月間MVP

投手部門

 名古屋 村松幸雄 1

 今月の投手部門は7人の候補が甲乙付け難く選考は難航した。

 スタルヒンは4勝0敗1セーブ。防御率0.56、WHIP0.88、奪三振率7.03であった。タイガースに3勝、名古屋に1勝であったが登板はこの2チームに特化したため投球回数が32回と少なかった。
 野口二郎は2勝0敗1分1セーブ。防御率0.00、WHIP0.73、奪三振率6.23であった。月間自責点0の快挙を成し遂げたが投球回数は26回と少なかった。
 浅岡三郎は4勝0敗1セーブ。防御率1.23、WHIP1.04、奪三振率4.75であった。セネタースは今月8勝0敗1分で、勝率10割の原動力が浅岡であった。
 森弘太郎は3勝2敗1分。防御率1.41、WHIP0.83、奪三振率3.27であった。44回3分の2を投げて与四球は僅かに5個と抜群のコントロールであった。
 清水秀雄は2勝3敗1セーブ。防御率1.15、WHIP1.40、奪三振率8.43であった。47回を投げて44奪三振の剛球を見せつけた。
 亀田忠は4勝2敗。防御率0.89、WHIP0.99、奪三振率5.22であった。投球回数は50回と最多であり3完封を記録したが、負けた2敗がジャイアンツと名古屋なのがマイナス要因となった。

 村松幸雄は5勝1敗。防御率1.24、WHIP0.87、奪三振率2.51であった。43回を投げて与四球は10個。村松は快速球の持ち主であったが技巧派とも言われている。奪三振率は低いが与四球が少なくWHIPは抜群であり、技巧派と言われていることを数字が裏付けている。

 当ブログは勝利数は重視していませんが、大混戦を抜け出したのは今月最多勝の5勝をあげた村松幸雄であった。





打撃部門

 ライオン 鬼頭数雄 1

 打撃部門は鬼頭数雄が他を圧した。今月13試合で46打数20安打9得点2打点3盗塁8四球、二塁打2本、三塁打5本。打率4割3分5厘、出塁率5割1分9厘、長打率6割9分6厘、OPS1.214であった。

 通算首位打者の座をキープしている川上哲治は打率3割2分3厘であった。
 清水秀雄は打率3割6分1厘、OPS0.938で投打に渡って候補となった。
 大沢清は打率4割、OPS1.085で次点の成績であった。






15年 第5節 週間MVP


 今節はイーグルスが4勝0敗、ジャイアンツが2勝0敗、セネタースが1勝0敗1分、名古屋が3勝1敗、阪急が1勝1敗1分、タイガースが1勝2敗、金鯱が1勝3敗、ライオンが1勝4敗、南海が0勝3敗であった。



週間MVP

投手部門

 イーグルス 亀田忠 2

 今節1安打完封と3安打完封の2試合連続完封を含み23回3分の2を投げて無失点。被安打は5本だけであった。



打撃部門

 イーグルス 谷義夫 1

 今節14打数5安打3得点5打点2四球、三塁打1本、勝利打点2の活躍、イーグルス快進撃の打の立役者となる。


 名古屋 吉田猪佐喜 1

 今節14打数5安打2得点2打点5四球、二塁打2本、本塁打1本、勝利打点1。


 名古屋 村瀬一三 1

 今節18打数5安打4得点4打点3四球、三塁打4本。2試合連続三塁打2本を記録する。





殊勲賞

 ライオン 広田修三1

 18日の名古屋戦で4打点とチーム全打点を記録して好調名古屋を破る。


 金鯱 長島進 1

 21日のライオン戦でサヨナラ打を放つ。


 ジャイアンツ 林清一 2

 21日のタイガース戦で代打決勝タイムリーを放つ。





敢闘賞

 イーグルス 岡田福吉 1

 今節19打数6安打3得点二塁打1本。一番打者としてイーグルス快進撃を引っ張る。


 名古屋 大沢清 1

 今節13打数6安打5得点3打点7四球。出塁率6割5分を記録する。


 セネタース 野口二郎 2

 20日の阪急戦で延長11回を零封して引き分ける。





技能賞

 イーグルス 中河美芳 1

 今節17打数5安打3得点1打点。16日の南海戦では完投勝利。


 イーグルス 寺内一隆 1

 今節15打数6安打3得点1打点2四球1盗塁、二塁打1本。


 阪急 森弘太郎 1

 20日のセネタース戦では延長11回を5安打無四球で零封して引き分ける。














2012年8月14日火曜日

15年 タイガースvsジャイアンツ 4回戦


4月21日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1 タイガース    10勝11敗1分 0.476 若林忠志
0 0 0 1 0 0 0 3 X  4 ジャイアンツ 13勝6敗 0.684 スタルヒン

勝利投手 スタルヒン 8勝1敗
敗戦投手 若林忠志  5勝5敗

二塁打 (タ)田中、中田 (ジ)吉原、川上
三塁打 (タ)田中

勝利打点 林清一 2


林清一代打決勝タイムリー

 4月最後の試合はタイガースが若林忠志、ジャイアンツがスタルヒンの先発で16時45分、川久保喜一主審の右手が上がってプレイボール。タイガースは4回まで毎回走者を出しながら無得点。1回は先頭の松木謙治郎が遊失に生きて皆川定之が送りバントを決めたが後続なく、4回は先頭のカイザー田中義雄が右中間に二塁打を放ったがスタルヒンに抑えられた。

 ジャイアンツは4回裏、先頭の千葉茂がピッチャー強襲ヒット、中島治康が一二塁間を抜いて無死一二塁、川上哲治の遊ゴロの間に二者進塁し、平山菊二は敬遠で歩き一死満塁、ここで呉波に代わる代打林清一が右前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 ジャイアンツは8回、先頭の千葉が右翼線にヒット、中島は中飛に倒れるが、川上の左中間二塁打で千葉が還って2-0、平山の三塁内野安打で一死一三塁、林清一の右犠飛で3-0、平山が二盗に成功、吉原正喜の遊ゴロをファースト松木が落球して二死一三塁、スタルヒンの右前タイムリーで4-0とする

 タイガースは9回、先頭の田中が左中間に三塁打、ジミー堀尾文人は三振に倒れて一死三塁、ここでスタルヒンがワイルドピッチを犯して1-4、伊賀上良平は二ゴロに倒れるが森国五郎に代わる代打中田金一が右翼線に二塁打、しかし若林が投ゴロに倒れて試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。
 スタルヒンは4安打3四球8三振の完投で8勝目、亀田忠と森弘太郎に並ばれたハーラー争いで単独トップに立った。




 この後、第4回大毎杯トーナメントを挟んでリーグ戦は5月3日に再開する。ジャイアンツは第1回から三連覇しており四連覇を狙う。

 春季シリーズは約3分の2を終了してセネタースが勝率7割6厘で首位、名古屋とジャイアンツが6割8分4厘と並んで二位、やや遅れて阪急が6割1分1厘で四位に付けている。

 この日4打数3安打の川上哲治は今季通算73打数26安打、3割5分6厘で首位打者。二位は千葉茂で3割4分5厘、三位は鬼頭数雄が3割4分1厘で続いている。










     *スタルヒンは4安打完投でハーラー単独トップとなる8勝目をあげる。