8月3日 (木) 西宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 南海 21勝27敗2分 0.438 政野岩夫
0 0 1 0 0 0 0 0 1X 2 ジャイアンツ 35勝15敗1分 0.700 中尾輝三 スタルヒン
勝利投手 スタルヒン 23勝8敗
敗戦投手 政野岩夫 9勝7敗
二塁打 (ジ)白石
三塁打 (ジ)中島
ジャイアンツ、苦手政野岩夫をバントで攻略
南海先発の政野岩夫は4月19日時点では2勝6敗の成績であったが5月5日のセネタース戦に完投勝ちして以来負け無しの7連勝を続けている。5月14日のジャイアンツ戦に完投勝ち、5月27日のジャイアンツ戦ではスタルヒン相手に投げ勝ち1対0で完封勝利を飾るなど、隠れジャイアンツキラーと呼べる存在である。
ジャイアンツは3回、先頭の白石敏男が四球を選んで出塁、水原茂の遊ゴロでランナーが入れ替わり、水原が二盗を試みるがキャッチャー中田道信からの送球にタッチアウト。中田は昨日の金鯱戦でも3個盗塁を刺している。チャンスは潰えたかに見えたが千葉茂が粘って四球で出塁、調子を上げてきた中島治康がセンター右奥に三塁打を放って苦手とする政野から1点を先制する。
南海は4回、先頭の国久松一が四球で出塁、中尾輝三のワイルドピッチで無死二塁、栗生信夫の一ゴロで国久は三進、中田の右犠飛で1-1の同点に追い付く。南海伝統のがめつい野球でノーヒットで得点をあげる。
ジャイアンツ先発の中尾輝三は相変わらずのノーコンを見せて2回には国久、栗生、中田に三連続四球を与えるがキャッチャー吉原正喜が牽制で国久を刺し、政野の三ゴロ併殺で切り抜ける。4回も上記のとおり四球と暴投で1点を失うが5回以降は無四球に抑え、8回からスタルヒンのリリーフを仰ぐ。そろそろ一本立ちしないとスタルヒンが壊れてしまう。
政野は相変わらずのジャイアンツキラーぶりを見せて4回~8回まで無失点で切り抜ける。5回は先頭の中尾に左前打を許すが白石の送りバントが小フライになって中尾が戻れずダブルプレー。6回は先頭の千葉を遊失で生かすが中島を三ゴロ併殺に打ち取る。7回も先頭のアチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)に左前打を許すが代走に出た呉波が吉原の送りバントに三塁を欲張りファースト栗生からの送球に刺される。これも併殺が記録されて3イニング連続併殺となる。8回は先頭の白石が中前打、水原が三前に送りバントを決めて千葉三振、中島四球で川上哲治を迎えるが川上を一邪飛に打ち取る。調子をあげてきている中島を敬遠して調子を落としてきている川上と勝負したのであれば、南海は既にがめつくデータ野球を取り入れていることとなる。
スタルヒンが8回、9回の南海の攻撃を無得点に抑えて迎えた9回裏ジャイアンツの攻撃は先頭の平山菊二が二ゴロに倒れるが、リベラの代走に出てそのままセンターに入っている呉が三塁前にセーフティバントを決めて一死一塁、吉原が投前に送りバントを決めて二死二塁、スタルヒンが左前にサヨナラタイムリーを放ってジャイアンツが辛勝する。
翌日の読売新聞には「スタルヒンはツーワン後、外角からプレート真中に切れ込むカーブを叩いて左翼にサヨナラ安打を見舞い・・・」と書かれている。政野は右のアンダーハンドなので記述通りだとするとスクリューボールかシンカーが甘く入ってしまったのかもしれない。読売の記述には右投手の中山正嘉の投球でも外から入ってくるカーブと書かれていることがあり、スリークウォーターからの外角球がシュート回転して中に入ってくるのかシンカーのことを言っているのか、或は単に外角というのは左打者の外角のことなのか定かではない。
藤本定義監督は苦手政野岩夫に対して嫌いなバント攻撃で何とか一矢を報いた。5回の白石の投飛併殺はスコアブックの記載だけでは送りバント失敗かどうかは分かりませんが本日の藤本監督の作戦からすると送りバント失敗と判断させていただきました。7回の吉原と8回の水原は記録も犠打で送りバントで間違いありません。9回一死の呉波はスコアブックの記載からでは三塁内野安打としか分かりませんが翌日の読売新聞に「セーフティバント」と書かれています。一死一塁での吉原の送りバントは記録は犠打で読売の記述は「バント」だけですがセーフティバントを試みた可能性があると考えられます。
*ジャイアンツは中尾輝三、スタルヒンの継投で苦手政野岩夫を破る。
*藤本定義監督は政野攻略に後半バント戦法を用いる。5回の一番白石敏男の投飛併殺は送りバント失敗でしょう。7回と9回の八番吉原正喜及び8回の二番水原茂には犠打が記録されています(四角で囲っているのが犠打を表します)。9回の七番呉波はラインが二重になっているので内野安打を表します。
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