2014年4月15日火曜日

16年 大洋vs巨人 9回戦


8月26日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 1 0 1 3 0 7 大洋 35勝21敗1分 0.625 長尾貞利 古谷倉之助
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 巨人 41勝15敗2分 0.732 澤村栄治 泉田喜義

勝利投手 古谷倉之助 3勝4敗
敗戦投手 澤村栄治     7勝5敗

二塁打 (巨)水原
本塁打 (巨)平山 1号

勝利打点 野口二郎 3

猛打賞 (巨)筒井修 1


消化試合

 夏季シリーズの最終戦となりました。今季から軍部の命令により「引分けは敢闘精神に反する」ということで再試合が行われます。引分けも再試合も公式戦としてカウントされますので、今季は春季、夏季、秋季各4試合の総当たりなので再試合がなければ各チーム84試合となりますが、夏季の巨人vs阪急と巨人vs大洋戦に引分けが1試合ずつあったため巨人は86試合、阪急は85試合となります。秋季にも大洋vs黒鷲と大洋vs朝日戦で引分けが1試合ずつあるので大洋は87試合、朝日と黒鷲は85試合、引分けがなかった南海、阪神、名古屋は84試合を消化することとなりました。



 巨人は24日の大洋戦で渾身の完封勝利を飾った澤村栄治が先発、同日投げ合った野口二郎が四番ライトでの出場となり大洋の先発は長尾貞利となった。苅田久徳がスタメンから外れたのは引分再試合に対する無言の抵抗を示したものではないでしょうか。

 大洋は初回、先頭の中村信一が左前打で出塁、森田実はストレートの四球、濃人渉の三前バントが内野安打となって無死満塁、野口二郎はストレートの押出し四球で1点を先制、石井豊の三ゴロで三走森田は本封されるが山川喜作の左犠飛で2-0とする。澤村も“消化試合”ということで気持ちが乗っていないようだ。翌日の読売新聞・鈴木惣太郎のコメントも「元気も球威も皆無であった」。

 巨人は3回、九番に下がった平山菊二がレフトスタンドにホームランを叩き込んで1-2とする。更に呉波の二ゴロをセカンド中村がエラー、水原茂は捕邪飛に倒れるが千葉茂の左前打で一死一二塁、川上哲治の右飛で二走呉が三塁に進み二死一三塁、ここでダブルスチールを敢行するが「2-4-2」と転送されてタッチアウト、巨人の反撃もここまでであった。

 大洋は5回から先発の長尾に代わって古谷倉之助がウンドに上がり巨人打線を封じ込める。

 大洋は5回、先頭の織辺由三が左前打で出塁、トップに返り中村が送りバントを決め、森田のピッチャー強襲ヒットで一死一三塁、森田は澤村の牽制に刺されて二死三塁、濃人渉が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて3-1とする。巨人はこの回からスタメンマスクの楠安夫に代わり吉原正喜が出場したが、どうにも気合が入っていないようだ。

 大洋は7回、古谷が左翼線ヒット、織辺が一塁線にバントヒット、トップに返り中村が四球を選んで無死満塁、森田の中犠飛で4-1とリードを広げる。

 巨人は8回から泉田喜義が登板するが、大洋は先頭の野口が四球で出塁、石井が右前打、山川も四球を選んで無死満塁、佐藤武夫は三振に倒れるが古谷が押出し四球を選んで5-1、織辺の捕前の当りはキャッチャー吉原が捕球してそのままホームを踏み捕ゴロとなって二死満塁、スコアカードには「2H」と記録されている。トップに返り中村が押出し四球を選んで6-1、森田の右前打で7-1として試合を決める。

 古谷倉之助は6イニングを3安打無四球無三振無失点で3勝目をあげる。


 翌日の読売新聞に鈴木惣太郎は「日程の・・過酷から巨人軍が極度の疲労に陥っている事は首肯出来る。その上に夏の覇権を目指して営々大努力してきた前日の対阪急に敗れ落胆したことも認められる。然しながら真摯敢闘の意義をよく弁え夏の覇権よりも“年度の覇権”に一層重き目的のある事を知るならばこの試合の如き不元気にして勝負に執着なき試合振りは見せられぬ筈である。洵に巨人軍の名声のために惜む、見苦しき敗戦であった。」と書いている。


 秋季シリーズは9月20日から行われます。





 

0 件のコメント:

コメントを投稿