2013年6月17日月曜日

15年 名古屋vs阪急 12回戦


11月5日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 1 0 0 0 0  1 名古屋 51勝37敗5分 0.580 松尾幸造
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急     56勝33敗5分 0.629 森弘太郎

勝利投手 松尾幸造 11勝11敗
敗戦投手 森弘太郎 25勝12敗

二塁打 (急)山田、日比野

勝利打点 松尾幸造 2


松尾幸造、完封と勝利打点

 名古屋は初回、先頭の村瀬一三が左翼線にヒット、芳賀直一の二ゴロをセカンド伊東甚吉がエラー、桝嘉一の一飛は送りバント失敗か、大沢清の中前打で一死満塁、しかし吉田猪佐喜のピッチャーライナーに三走村瀬が飛び出してダブルプレー。

 阪急は2回、一死後上田藤夫が四球で出塁、日比野武が中前打を放って一死一二塁、伊東は中飛に倒れるが土肥省三がストレートの四球を選んで二死満塁、しかし森弘太郎は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は3回、先頭の松尾幸造が中前打で出塁、トップに返り村瀬のカウントツースリーで松尾がスタート、しかし村瀬は三振、松尾も刺されて三振ゲッツー。

 名古屋は5回、先頭の中村三郎が中前打で出塁、服部受弘の遊ゴロをショート上田が二塁に悪送球する間に二者進塁して無死二三塁、岩本章は二飛に倒れるが、松尾が中犠飛を打ち上げて1点を先制する。これが決勝点となった。

 阪急は6回、先頭のフランク山田伝が左翼に二塁打、森田定雄の遊ゴロをショート村瀬がお手玉して無死一二塁、しかし浅野勝三郎のセカンドライナーに二走山田が飛び出してダブルプレー。

 阪急は7回、一死後伊東に代わる代打黒田健吾が左前打で出塁、土肥の三ゴロをサード芳賀がエラー、森が四球を選んで一死満塁、トップに返り中島はカウントツースリーから三振、この時三走黒田が飛び出しており「2-5-2」と渡ってここも三振ゲッツー。カウントツースリーなのでスクイズなら“ストライクスクイズ”となりますが中島が見逃し三振を喫した可能性もある。

 阪急は8回、先頭の山田がセンター左にヒット、森田が送って一死二塁と一打同点のチャンスを作るが浅野は二ゴロ、上田も三ゴロに倒れて無得点。9回も先頭の日比野が左中間に二塁打を放ち代走に西村正夫を起用するが、黒田は三ゴロ、土肥は捕ゴロ、森に代わる代打井野川利春も三ゴロに倒れて試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。

 松尾幸造は阪急打線を5安打4四球3三振に抑えて今季4度目の完封で11勝目をあげる。自ら決勝犠飛も放った。

 名古屋は9回にもダブルプレーで3併殺を喫したが、阪急の2併殺は勝負どころだっただけに痛かった。7回一死満塁での三振ゲッツーはスクイズ絡みだった可能性がある。


 満塁からのストライクスクイズと言えば昭和48年第55回全国高校野球選手権大会第八日、2回戦で激突した江川卓を擁する作新学院vs銚子商業の雨中の熱戦は5万6千人の観衆が見守る中延長12回に進み、9番ライト多部田が江川の外角高めの速球に喰らい付くようにして中前打を放つなどで一死満塁のチャンスをつかむ。二番長谷川のカウントはツーストライクスリーボール、銚子商業のサインは“ストライクスクイズ”。江川の投球は高目に大きく外れ、長谷川はバントの構えからバットを引いてサヨナラ押出し四球となり三走磯村が両手を叩きながらホームイン、前年秋の関東大会で江川の前に1安打21三振と惨敗した銚子商業が雪辱を果たしました。因みに江川はこの高校2年の時が一番速かったと言われています。


 12回のサヨナラ劇の伏線は延長10回銚子商業の攻撃にありました。この回先頭の七番磯村がセンター左奥に三塁打を放って無死三塁、八番土屋は三振に倒れるが九番多部田が四球を選んで一死一三塁、ところがトップに返り一番宮内主将の打席でサイン違いから三走磯村が飛び出してタッチアウト、宮内が出塁して二死一二塁から二番長谷川が一二塁間を破る。エンドランが掛かっており、しかもライトがファンブルしたので二走多部田の本塁突入はタイミングはセーフであったがヘッドスライディングした多部田をキャッチャー小倉が強引にブロック、多部田が本塁寸前で抑えつけられる間に白球を拾い上げたライトからのバックホームが小倉のミットに到着して判定はタッチアウト。どう見てもオブストラクションでした。アウトとなった多部田が起き上がると顔面は血だらけでした。キャッチャー小倉も必死だったのです。治療のため少し遅れてライトのポジションに走る多部田に温かい拍手が送られました。


 延長12回裏の銚子商業の攻撃は先頭の磯村が四球で出塁、土屋が右飛に倒れて一死一塁で九番多部田に打順が回り、江川の外角高めに飛びつくようにバットを出して打球はゴロで中前に抜けました。10回の攻撃で悔しい思いをした二人がチャンスを作り、宮内も四球を選んで一死満塁ツースリーからストライクスクイズの構えを見せた長谷川に投じた江川の一球が高く外れたのです。


 サヨナラのホームを踏んだ磯村は一年からサードのレギュラーで一年時が一番、二年時は五番でした。三年では七番に下がりましたがそれだけチーム力が充実してきた訳です。銚子商業が念願の全国制覇を果たすのは翌年のこととなります。磯村のサードのポジションを継いだ2年生の篠塚が攻守に大活躍した年です。篠塚のその後の活躍はご存知のとおり。磯村は日本鋼管に進み長く現役を続けました。










*松尾幸造は5安打完封で11勝目をあげる。共に9回を投げて松尾は135球、森弘太郎は108球。球数の違いが両者のピッチングスタイルを表しています。










 

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