2013年2月23日土曜日

15年 金鯱vsライオン 9回戦 満州リーグ


8月20日 (火) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 金鯱       18勝46敗7分 0.281 古谷倉之助
0 0 1 1 0 0 0 0 X 2 ライオン 17勝47敗4分 0.266 近藤久 福士勇

勝利投手 福士勇        7勝14敗
敗戦投手 古谷倉之助 4勝15敗

二塁打 (金)竹林
三塁打 (金)佐々木 (ラ)坪内、玉腰

勝利打点 なし


福士勇、好リリーフ

 金鯱はダブルヘッダーの第二試合に古谷倉之助が先発、ライオンは近藤久で応戦する。

 金鯱は2回、一死後室脇正信が左前打で出塁しワイルドピッチで二進、竹林実が左翼線に先制二塁打を放って1-0とする。ライオンは早くも先発の近藤をあきらめて福士勇をリリーフに送る。柴田多摩男は三ゴロ、佐々木常助は遊直に倒れてスリーアウトチェンジ。

 ライオンは3回、一死後福士の遊ゴロをショート濃人渉が一塁に悪送球、前田諭治の遊ゴロでランナーが入れ替わり二死一塁、トップに返り坪内道則が左翼線に三塁打を放って1-1の同点とする。

 ライオンは4回、先頭の玉腰年男が左中間に三塁打、鬼頭数雄の投ゴロに三走玉腰が飛び出してしまい三本間に挟まれる。ところが玉腰が「1-2-5-1」と粘って時間を稼ぎ打者走者の鬼頭(兄)は三塁に進んで一死三塁、戸川信夫は投ゴロに倒れて二死三塁、鬼頭政一の三ゴロをサード漆原進が一塁に悪送球する間に鬼頭(兄)が還って2-1と逆転、これが決勝点となった。鬼頭(弟)には打点は記録されていないので勝利打点は記録されないが、鬼頭兄弟により決勝点をあげたこととなるが、挟殺プレーで粘って鬼頭(兄)の進塁を助けた玉腰年男が影の殊勲者となります。


 ライオン二番手の福士勇が素晴らしいピッチングを見せた。2回途中で急遽リリーフのマウンドに上がった福士は7回3分の2を2安打2四球1三振無失点に抑えて7勝目をあげる。福士は12日のジャイアンツ戦でも3回途中から登板して5回3分の2を投げて9三振を奪っており、キラリと光るものを見せている。

 この点を見逃さなかったのが満州日日新聞の吉田要記者であった。吉田要は“満州リーグ審判員”として満州日日新聞に記事を掲載している。8月28日~30日にかけて「印象深き投手と打者」が掲載されており、29日付け記事に「将来性のある投手としてライオンの福士を挙げたい。彼のフォームも大体に於て無理がなくドロップも大きいが、いたずらに早く投げる癖を脱してもう少し慎重に投球し球の配合を研究すれば好投手になる素質は十分有ると見た。」と書いている。実際、福士は昭和16年には今季の7勝から17勝と大いに飛躍することとなり、吉田要の慧眼ぶりが証明されている。福士は翌17年にも9勝をマークするが応召し、戦死することとなる。福士が使用していたグラブは野球体育博物館(2013年4月1日より「野球殿堂博物館」に改称)に保存されており、時々展示されている。








*福士勇は7回3分の2を投げて2安打2四球1三振無失点で7勝目をあげる。古谷倉之助も8回を完投して3安打1四球5三振であったが味方の守備に足を引っ張られて2失点、自責点は0であった。












 

0 件のコメント:

コメントを投稿