2011年8月21日日曜日

14年 ライオンvs金鯱 3回戦

4月16日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 1 3 1 0 0 0 0 8 ライオン 6勝5敗3分 0.545 菊矢吉男
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金鯱   6勝9敗     0.400 中山正嘉 古谷倉之助


勝利投手 菊矢吉男     4勝3敗
敗戦投手 古谷倉之助 1勝2敗


二塁打 (ラ)菊矢、鬼頭 (金)長島
三塁打 (ラ)水谷、玉腰

菊矢吉男、完全試合を逸す


 ライオンは初回、坪内道則、西端利郎が連続四球、水谷則一が右中間に三塁打を放って2点を先制、鬼頭数雄の二ゴロの間に水谷が還って3-0とする。

 ライオンは3回、先頭の西端が中前打で出塁、水谷の二ゴロでランナーが入れ替わり、鬼頭が中前打、室井豊が左翼線にタイムリーを放って4-0とする。イーグルスは4回から中山正嘉に代わって古谷倉之助がリリーフで登板する。

 ライオンは4回、先頭の松岡甲二が右前打で出塁、菊矢吉男が左中間に二塁打を放って無死二三塁、一死後西端の右前タイムリーで5-0としてなお一死一三塁、西端の二盗の際キャッチャー野村高義の送球が悪送球となる間に三走菊矢が還って6-0、水谷の右前タイムリーで7-0とする。鬼頭が右前打で続いて一死一二塁、ダブルスチールを決めて一死二三塁、しかし後続は倒れて追加得点はならず。

 ライオンは5回、先頭の松岡が左前打で出塁、ここで古谷の投球がワイルドピッチとなって松岡は一気に三塁に進む。金鯱はキャッチャーを野村から長島進に交代。坪内の中犠飛で松岡が生還して8-0とする。

 菊矢吉男は5回二死までパーフェクトピッチング、ここで長島進に本日唯一の走者となる二塁打を左中間に持っていかれた。金鯱の先発マスクは前日4打数3安打の野村高義で六番に入っている。2回の第一打席は投ゴロで、5回途中から長島進に交代している。翌日の読売新聞によると「・・・捕手野村は5回一塁に走者松岡を置いて打者菊矢に対して古谷の低い暴投が出ると指を傷つけて退いた・・・」とのこと。

 歴史にタラレバは禁物であるが、野村が長島と交代していなければ、すなわち古谷倉之助の投球が低く外れてさえしていなかったら、あるいは野村のキャッチングがもう少し巧ければ、あるいは野村のキャッチングがもっと下手で指を故障していなければ、菊矢吉男が日本プロ野球史上初の完全試合を達成していた可能性が高い。翌日の読売新聞で鈴木惣太郎は「それにしてもこの日の菊矢は近来無類の好投であった。僅か長島に1本の安打を許したのみで四球皆無の絶好コントロールをもって終始し、しかも背後の無失策に援けられて毎回三者宛を斥ける好投はまさに激賞に値すべく、惜しくも一走者を出して完全試合(パーフェクト・ゲーム)の大記録を逸したのは心外であろうが・・・」と論評している。

 菊矢吉男は1安打無四球6三振の完封で今季4勝目を飾った。当時は三冠王の概念はありませんでしたが、完全試合の概念はあったようです。


 この試合は「日本プロ野球記録大全集」114、115ページで紹介されています。







               *菊矢吉男は準完全試合を達成する。







               *手も足も出なかった金鯱打線




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