2010年6月8日火曜日

三冠への道 ⑪

 6月6日のブルワース戦で今期第14号ホームラン、打点を44として、本塁打、打点の二冠に並びました。208打数66安打で打率は3割1分7厘、現在首位のブレーブス、マーティン・プラドに1分1厘差の3位に付けており、予定通り三冠が視野に入ってきました。

 今期のナショナル・リーグバットマンレースは突出した数字をあげるバッターが見当たらず、超混戦ムードとなっております。春先は唯一ドジャースのアンドレ・イーシアが突出した数字をあげていましたが欠場が続き現在は下位に沈んでいます。復帰してきましたので規定打席に復活すれば打率でダントツとなる可能性は残っておりますが、打数が少ない状況で3割台後半の数字を維持できるでしょうか。

 ご存知のとおりナショナル・リーグは後発のアメリカン・リーグと違い伝統を重んじているため指名代打制度を採用していないことから、アメリカン・リーグで好成績をあげた投手が移籍したがります。ヨハン・サンタナ(ツインズ→メッツ)、ロイ・ハラデー(ブルージェイズ→フィリーズ)の近年アメリカン・リーグ最高の投手がナショナル・リーグに新天地を求めています。唯一の例外は200億円に吊られてインディアンスからヤンキースに移ったC.C.サバシアくらいでしょうか。したがってナショナル・リーグのバッターは好投手を相手にする機会が多くなり、数字が上がりにくくなります。

 フロリダ・マーリンズ時代のミゲール・カブレラは、アルバート・プホルス、ライアン・ハワードの影に隠れてタイトルに恵まれませんでしたが、2008年にデトロイト・タイガースに移籍した途端に本塁打王(37本)になり、今季もアメリカン・リーグの本塁打、打点のタイトルを狙える位置(三冠の可能性すらあります)にいます。ナショナル・リーグでプホルスに次ぐ成績を上げ続けてきたスラッガーにとって、アメリカン・リーグのタイトル奪取は簡単なことなのでしょう。

 このような状況は、アルバート・プホルスの三冠達成には願ってもないチャンスであると考えます。ライアン・ハワードが50本台のホームランを打ったり、近年のチッパー・ジョーンズやハンリー・ラミレスのように首位打者一本に絞って3割5分以上の打率をあげるバッターが出現する年は三冠は極めて難しくなりますが、今年のレベルであればチャンスは大きいと思います。前回三冠のカール・ヤストレムスキーの時がちょうどこんな感じでした。時代背景的にもヤストレムスキーの時は後に首位打者の常連となるロッド・カルーが出現する直前であり、ジョー・マウアーとイチローがたまたまアメリカン・リーグに在籍していてくれている状況と似ています。

 本塁打・打点部門はいつの時代でもライバルはいる訳で、ヤストレムスキーは三冠を獲った1967年が彼の四半世紀にわたるキャリアの中で三部門ともキャリア・ハイの成績をあげ、前年シンシナティ・レッズからボルチモア・オリオールズに移籍してきて49本で本塁打王となったフランク・ロビンソンが30本に数字を落とし、ツインズのハーマン・キルブリューと同数の44本で、中距離打者であったことから鬼門であった本塁打のタイトルを獲れたことが三冠につながったわけです。

 このように、三冠を獲るにはタイミングこそが重要となり、本人の成績もさることながら、ライバル連中の成績に左右される点に鑑みれば、今年こそが最大のチャンスとなるのです。

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